Letter 生化学:質量分析法により酵母Saccharomyces cerevisiaeのタンパク質複合体を系統的に同定 2002年1月10日 Nature 415, 6868 doi: 10.1038/415180a 最近、ゲノム塩基配列データが大量に得られるようになって、塩基配列にコード化され細胞機能を指令しているタンパク質のネットワークを読み解く系統的プロテオーム解析学の必要性が、急速に高まってきた。これまで、大規模なタンパク質間相互作用地図の作成は、酵母を使ったツーハイブリッド系を頼りに行われてきた。この手法では、レポーター遺伝子の発現活性化により2種のタンパク質間の相互作用を検出する。超高感度質量分析によるタンパク質同定法ができれば、プロテオーム規模でタンパク質複合体を直接同定することが可能になる。本稿では、試験的に出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeを用いて、高速質量分析法によるタンパク質複合体同定法(HMS-PCI)と我々が命名した、この種の手法の一例を報告する。予測ずみの酵母タンパク質の10%を解析用の「釣り餌(ベイト)」として使い、酵母プロテオームの25%にあたる3617種の関連タンパク質を検出した。多数のタンパク質複合体が同定され、その中には、多様な信号伝達系やDNA損傷反応に含まれる多くの新しい相互作用が見られた。HMS-PCIのデータセットと文献報告にある相互作用とを比較したところ、既知の複合体の検出成功率は平均して、大規模ツーハイブリッド法による成果の3倍であった。今回の研究で見られた高度の連結性を考えると、ヒトの場合を含む複雑なプロテオームに部分的にでもHMS-PCIを適用することで、細胞ネットワークを包括的に捕らえることが可能になるはずである。 Full Text PDF 目次へ戻る