Letter 生態:寄生性ケープミツバチの働きバチは宿主の警備を免れる 2002年1月10日 Nature 415, 6868 doi: 10.1038/415163a 1990年に養蜂業者がケープミツバチ(Apis mellifera capensis;セイヨウミツバチの亜種)を南アフリカの南部から北部へ移動させたことで、アフリカミツバチ(A. m. scutellata;やはり亜種)の養蜂用の巣が広範囲にわたって死滅した。ケープミツバチの働きバチは、交配を行わずに、オートミクシスによる雌性産生単為生殖という方法(減数分裂後に2つの一倍体が融合して二倍体の卵をつくる)で、二倍体で雌となる卵を産むことができる。だが、他のミツバチ亜種の働きバチは、一倍体で雄となる卵しか産むことができない。南アフリカ北部でアフリカミツバチの巣に寄生して殺傷をしているケープミツバチの働きバチは、最初の1匹の働きバチが無性生殖で産んだ子孫だが、その子孫にはわずかな遺伝的多様性がみられ、これは減数分裂に際した染色体交差によるものである(P. Kryger私信)。今回我々は、この寄生の基盤にある2つの根本的な機構を解明した。寄生性ケープミツバチの働きバチは、1匹の女王バチのいる宿主の巣で自身の卵巣を活性化して卵を産むが、これらの卵は他の働きバチに殺されるの(働きバチによる警備)を免れ、女王が1匹の巣にすむ働きバチの産んだ卵が通常たどるのと同じ運命をたどる。働きバチによるこの珍しい寄生機構は、社会がその構成員の利己的な活動を制御できないことを示す一例である。 Full Text PDF 目次へ戻る