Letter 環境:海洋中の窒素とリンの量的変化から推測した氷河期の海洋における窒素固定の低下 2002年1月10日 Nature 415, 6868 doi: 10.1038/415156a 氷河期の大気中CO2濃度が低かった理由として、鉄を含んだ塵の海洋への流入量が増加したことにより海洋植物プランクトンの生産性が促進されたことが提案されている。この学説では、窒素固定生物にとって不可欠な鉄が海洋中の窒素固定速度を増大させ、他の海洋植物プランクトンの生長を刺激してCO2の摂取を増加させるという考え方が1つの基盤となっている。ここでは、この仮説に疑問を呈するデータを提示する。我々は、メキシコ北西の大陸縁辺部沖で得られた堆積物コアから、氷河期には脱窒素作用および燐灰土の生成(海洋から窒素とリンを取り除く過程のことで酸素が不足した湧昇流地域で起こる)が低下し、海洋中の窒素とリンが増加したことを示す。しかし、リンの増加は小さくまた増加のペースも遅かったので海洋のN/P比が増加することになった。植物プランクトンはレッドフィールド比という一定の比率で窒素とリンを必要とし、N/P比がレッドフィールド比を超えると窒素固定を抑制する可能性が高いことを考えて、我々は、氷河期における栄養素資源の増加あるいは鉄分の供給量の増大に対応した海洋の生産性の増加は生じなかったことを提案する。 Full Text PDF 目次へ戻る