Article 生化学:タンパク質複合体の系統的解析による、酵母プロテオームの機能面からの体系付け 2002年1月10日 Nature 415, 6868 doi: 10.1038/415141a ほとんどの細胞過程は、複数のタンパク質からなる複合体によって行われる。この複合体の構成成分を同定、解析すれば、発現されている全タンパク質(プロテオーム)がどのように編成されて機能単位となっているかについてをうかがい知ることができる。われわれは多タンパク質複合体の性質を明らかにするために、酵母Saccharomyces cerevisiaeにおいて親和性に基づく反復精製[tandem-affinity purification(TAP)]と質量分析法とを用いて大規模な解析を行った。生物学的に重要なヒト遺伝子のオーソロガス遺伝子1,143個を含む1,739個の遺伝子を対象にし、589種類のタンパク質集合体を精製した。これらの集合体を生物情報学的に解析した結果、232種類の異なった多タンパク質複合体を同定し、344個のタンパク質について新たな細胞機能を提示した。そのうち231個のタンパク質は、これまで機能が知られていなかった。酵母とヒトの複合体の比較によって、種を越えた保存が、1個のタンパク質からその分子環境にまで及んでいることが明らかになった。今回の解析結果は、2成分間の相互作用というレベルを越えたタンパク質複合体ネットワークとしての真核細胞プロテオームの概略を示すものである。この高次地図は根本的な生体情報を含んでおり、多くの情報に基づいた、より合理的な新薬開発を行う土台となるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る