Letter 生理:細菌の多数の化学受容体における受容体間情報交換 2002年1月3日 Nature 415, 6867 doi: 10.1038/415081a 化学走性をもつ細菌は、検出機構の働きで刺激に敏感に応答できる。たとえば大腸菌は、化学物質に対して6桁もの濃度範囲にわたって10%以下の濃度変化に反応する。これほど感受性が広い範囲にわたるのは、リガンド濃度とそれに対する応答とが非線型的な関係にあるためである。リガンド濃度が低い場合には化学誘因信号をかなり増幅する必要があるが、増幅機構は未解明である。ここでは、受容体集団(lattice)内での受容体間情報交換が感覚情報を増幅、統合する役割を果たすことを明らかにする。存在量の少ないガラクトース検出受容体Trgの合成多価リガンドは多数の化学受容体の集団を結びつけて安定化し、こうして強化された受容体集団から発せられる信号を著しく増強する。多価リガンドで処理すると、誘引物質であるセリンに対する応答が少なくとも100倍に増幅される。この増幅には、化学受容体集団全体の存在が必要で、アスパラギン酸(Tar)受容体やジペプチド(Tap)受容体を欠失させると、セリン応答は増幅されない。これらの結果は、化学信号の検出に受容体群全体が関与することを示している。このような情報交換様式は、細胞の受容体による情報処理に広く関係してくるだろう。 Full Text PDF 目次へ戻る