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Nature Metabolism に掲載された一次研究論文(Articles および Letters)について、その概要を日本語で紹介しています。

Metabolic Messengers: 代謝のメッセンジャー:繊維芽細胞増殖因子15/19

Metabolic Messengers: fibroblast growth factor 15/19

doi: 10.1038/s42255-019-0074-3

腸ホルモンFGF19とそのマウスオルソログFgf15は、絶食状態と摂食後状態の間の代謝的移行に関する重要なメディエーターである。今回GadaletaとMoschettaは、 FGF15/FGF19の歴史、生理学的役割、分子的作用機序について簡潔に概説している。

Letter: マイトファジー活性化物質ウロリチンAは安全であり、ヒトのミトコンドリアおよび細胞の健全性改善を示す分子シグネチャーを誘導する

The mitophagy activator urolithin A is safe and induces a molecular signature of improved mitochondrial and cellular health in humans

doi: 10.1038/s42255-019-0073-4

今回著者たちは、健常高齢者におけるウロリチンAのFIH(first-in-human)試験の結果を報告し、経口投与による忍容性やバイオアベイラビリティーが良好であることを実証した。ウロリチンAがヒトの筋肉でミトコンドリアおよび細胞の健全性を改善する可能性があることを示す臨床データも示した。

Article: 転写ネットワーク解析によりNASHの発症および消散に肝臓免疫機能の変化が関与することが示される

Transcriptional network analysis implicates altered hepatic immune function in NASH development and resolution

doi: 10.1038/s42255-019-0076-1

非アルコール性脂肪肝は肝細胞内の脂質蓄積を特徴とし、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)に進行する場合がある。Haasたちは、NASH患者の肝臓には、可逆的ながら、単純な脂肪肝とは異なる遺伝子プロファイルが認められ、肝臓内に従来型樹状細胞(cDC)とCD8 T細胞の蓄積が見られることを明らかにした。

Article: リーダーβ細胞がin vivoで膵島全体のCa2+動態を調整する

Leader β-cells coordinate Ca2+ dynamics across pancreatic islets in vivo

doi: 10.1038/s42255-019-0075-2

膵β細胞は高度に接続されており、そのネットワークはインスリンの律動的な放出に極めて重要である。今回Salemたちは、グルコースに最初に応答するとともに、他のβ細胞ととりわけ密接に結び付いているリーダーβ細胞の存在を明らかにした。さらに、β細胞のカルシウム動態および、リーダーβ細胞と非リーダーβ細胞の間の接続性をグルコースが強化することも示した。

Article: 遺伝子-環境相互作用から逆に、ヒトのボディマス指数に影響を与えるバリアントを特定する

Reverse gene–environment interaction approach to identify variants influencing body-mass index in humans

doi: 10.1038/s42255-019-0071-6

今回著者たちは、脂肪酸処理を行ったヒト脂肪細胞のATAC-seq法およびプロモーターキャプチャーHi-C法のデータを利用することにより、ヒトのボディマス指数に影響を与える遺伝子-環境(G×E)相互作用を特定した。飽和脂肪に応答する154の遺伝子が報告され、英国バイオバンクのデータからボディマス指数に関する38の新たなG×Eバリアントが見つかった。

Article: 相乗作用的な基質同時供給が還元的代謝を促進する

Synergistic substrate cofeeding stimulates reductive metabolism

doi: 10.1038/s42255-019-0077-0

還元的代謝によるバイオプロダクトの合成は、利用可能な炭素やATP、還元剤の量によって効率が変化する。今回著者たちは、産物合成の全体的効率を最大にする目的で、基質を同時に供給する戦略を開発した。この戦略では異化代謝産物抑制が回避され、2種類の微生物においてCO2からの脂質合成で相乗作用が促進された。

Letter: 免疫細胞の浸潤に先んじてβ細胞の増殖を促進すると1型糖尿病の進行が妨げられる

Increased β-cell proliferation before immune cell invasion prevents progression of type 1 diabetes

doi: 10.1038/s42255-019-0061-8

1型糖尿病(T1D)では免疫の作用で膵臓のβ細胞が破壊される。今回著者たちは、雌の非肥満性糖尿病(NOD)マウスにおいて、免疫細胞が膵臓に浸潤する前にβ細胞の複製を誘導すると、β細胞の抗原発現が変化し、制御性T細胞依存的にT1Dの進行が妨げられることを明らかにした。

Article: Nrf2がBmp6とヘプシジンを介してヘモクロマトーシスとサラセミアの鉄恒常性を制御する

Nrf2 controls iron homoeostasis in haemochromatosis and thalassaemia via Bmp6 and hepcidin

doi: 10.1038/s42255-019-0063-6

鉄恒常性は、毒性を示す鉄過負荷を避けるために厳密に調整されている。今回Limたちは、鉄過剰がミトコンドリアの活性酸素種を介してNrf2を活性化させ、肝臓の類洞内皮細胞のBmp6発現を上昇させることで、肝細胞によるヘプシジンの発現を促進し、全身の鉄レベルを低下させることを明らかにした。

Article: 分岐鎖アミノ酸による健康と寿命への影響はアミノ酸バランスと食欲制御を介した間接的なものである

Branched-chain amino acids impact health and lifespan indirectly via amino acid balance and appetite control

doi: 10.1038/s42255-019-0059-2

食餌中のタンパク質は代謝の健全性と加齢に影響を与える。今回Solon-Bietたちは、食餌中の分岐鎖アミノ酸(BCAA)が、直接的な毒性作用を及ぼすわけではなく、BCAAとそれ以外のアミノ酸とのインバランスによって過食を誘発し、肥満の結果として寿命が短縮すると考えられることを明らかにした。

Article: 4-メチルウンベリフェロンが褐色脂肪組織の熱産生能を向上させる

4-Methylumbelliferone improves the thermogenic capacity of brown adipose tissue

doi: 10.1038/s42255-019-0055-6

肥満および糖尿病は、褐色脂肪組織の活性化で改善され得る。今回著者たちは、ヒアルロナン合成を4-メチルウンベリフェロンで化学的に阻害したり、ヒアルロナンシンターゼ2および3を遺伝的に欠失させたりすると、マウスの褐色脂肪組織の熱産生能が亢進することにより、体重増加が抑制されて、グルコース恒常性が改善されることを明らかにした。

Article: ABHD5とPNPLA3との動的な相互作用が褐色脂肪細胞のトリアシルグリセロール代謝を調節する

Dynamic interactions of ABHD5 with PNPLA3 regulate triacylglycerol metabolism in brown adipocytes

doi: 10.1038/s42255-019-0066-3

今回著者たちは、PNPLA3およびそのI148Mリスクバリアントが細胞内の脂質代謝に関与する機序を明らかにした。PNPLA3はABHD5と相互作用して、PNPLA2-ABHD5相互作用を妨げることで、褐色脂肪細胞の脂質分解を阻害し、脂質の貯蔵を促進する。PNPLA3のI148Mバリアントではこの相互作用が増強される。

Article: 肝臓から分泌されるGpnmbが白色脂肪組織の脂質生成を促進して肥満とインスリン抵抗性を悪化させる

Gpnmb secreted from liver promotes lipogenesis in white adipose tissue and aggravates obesity and insulin resistance

doi: 10.1038/s42255-019-0065-4

代謝は細胞や臓器のコミュニケーションによって厳密に調節されている。今回Gongたちは、肝臓が分泌する因子Gpnmbが脂肪組織の脂質生成を促進して、食餌誘発性肥満の代謝機能障害を悪化させる一方、Gpnmbを阻害すると、体重増加が抑制されて、インスリン抵抗性が低下することを明らかにした。

Letter: KLF15は生体内物質および生体異物の代謝を調節する

KLF15 regulates endobiotic and xenobiotic metabolism

doi: 10.1038/s42255-019-0054-7

転写因子Klf15は、胆汁酸合成などのさまざまな代謝過程を制御している。今回著者たちは、Klf15が、第1~3相代謝の各種の遺伝子の発現を直接的および間接的な機序で制御することにより、生体異物および生体内物質の代謝に関する上流の調節因子として働いていることを示した。

Article: 低酸素関連の分子的特徴を明らかにすることで低酸素状態を標的とした治療を支援する

Characterization of hypoxia-associated molecular features to aid hypoxia-targeted therapy

doi: 10.1038/s42255-019-0045-8

従来の考えでは、低酸素は薬剤耐性を生じさせるとされる。それに対し今回著者たちは、多層オミクスデータの手法を用いて、腫瘍の低酸素状態に関連する分子的特徴を明らかにし、また、承認薬に対する耐性応答および感受性応答の両方と相関する分子的変化を特定した。

Article: 肝マクロファージは非炎症性因子を介して全身代謝を調節する

Liver macrophages regulate systemic metabolism through non-inflammatory factors

doi: 10.1038/s42255-019-0044-9

肝マクロファージの炎症促進性活性化や、その炎症促進性サイトカインの分泌が、肥満と関連付けられている。今回Morgantiniたちは、肝マクロファージがIGFBP7などの非炎症性因子の分泌により、明白な炎症促進性表現型を示さずに、肝臓の代謝を障害して、肥満におけるインスリン抵抗性を助長する機序を明らかにした。

Article: 肺腺がんにおいてmiR-147bを介したTCA回路の機能障害と偽低酸素がEGFR阻害剤への耐性を引き起こす

miR-147b-mediated TCA cycle dysfunction and pseudohypoxia initiate drug tolerance to EGFR inhibitors in lung adenocarcinoma

doi: 10.1038/s42255-019-0052-9

がんにおいては、上皮増殖因子受容体(EGFR)に基づく標的療法など、従来の治療を受けた後の再発が障害となっている。今回著者たちは、非小細胞肺がんにおいてEGFR阻害剤オシメルチニブに対する耐性が、トリカルボン酸回路および偽低酸素経路に対するmiR-147bの作用によって仲介されていて、この耐性をmiR-147b阻害剤によって操作できることを示した。

Article: 体重調節に関与するレプチン応答性ニューロン集団のゲノム・エピゲノムマッピング

Genomic and epigenomic mapping of leptin-responsive neuronal populations involved in body weight regulation

doi: 10.1038/s42255-019-0051-x

井上たちは、遺伝的およびエピジェネティックなツールを用いて、マウス視床下部のレプチン応答性ニューロンで働く遺伝子調節エレメントのマッピングを行った。これらの調節エレメントはGWASの複数の肥満関連SNPと重なっている。

Article: 長鎖非コードRNAのlnc-ob1は骨芽細胞でオステリックスの発現を上昇させて骨形成を促進する

The long noncoding RNA lnc-ob1 facilitates bone formation by upregulating Osterix in osteoblasts

doi: 10.1038/s42255-019-0053-8

今回著者たちは、長鎖非コードRNAのlnc-ob1が骨芽細胞活性の調節因子であることを特定した。遺伝的ノックインまたはプラスミドの薬理学的送達のいずれかによって、骨芽細胞のlnc-ob1発現を上昇させると、骨形成が亢進すること、また、骨粗鬆症マウスモデルの骨量減少が抑制されたことから、lnc-ob1発現の調節が治療に有用である可能性が示唆された。

Perspective: 代謝生理の有望な調節因子としての視床下部ミクログリア

Hypothalamic microglia as potential regulators of metabolic physiology

doi: 10.1038/s42255-019-0040-0

脳の組織常在骨髄系細胞はミクログリアとして知られており、その活性化は肥満関連の視床下部機能障害を促進すると考えられている。今回著者たちは、脂肪組織常在マクロファージの生物学の領域から学んだことを生かして、ミクログリアについてさらに詳細に概説している。また、ミクログリアは、単に食餌誘発性の損傷に応答するのではなく、視床下部の生理機能を調節する栄養および環境のセンサーとして働くこと、また、この役割が慢性的な過栄養により乗っ取られた場合には疾患が生じ得ることが提案された。

Review Article: 代謝の可変抵抗器としてのmTORC1シグナル伝達の分子論理

Molecular logic of mTORC1 signalling as a metabolic rheostat

doi: 10.1038/s42255-019-0038-7

タンパク質キナーゼ複合体であるmTORC1(mechanistic target of rapamycin complex 1)は、細胞の栄養およびエネルギーの重要なセンサーであり、さまざまな入力を統合して細胞の増殖を調節する。今回著者たちは、mTORC1シグナル伝達ネットワークの分子論理と、それが増殖シグナルを細胞の代謝制御に結びつけるのに重要な役割を担うことについて述べている。

Metabolic Messengers: 代謝メッセンジャー:アディポネクチン

Metabolic Messengers: adiponectin

doi: 10.1038/s42255-019-0041-z

アディポネクチンは脂肪細胞から分泌され、さまざまな組織で主として抗アポトーシス、抗炎症、抗繊維形成、インスリン抵抗性改善の活性を発揮する。今回StraubとSchererは、アディポネクチンの歴史、生理学的役割、分子的な作用機序について簡潔に概説している。

Letter: AMPKの活性化は皮下白色脂肪組織でUcp1非依存性の熱産生によって食餌誘発性の肥満を防ぐ

AMPK activation protects against diet-induced obesity through Ucp1-independent thermogenesis in subcutaneous white adipose tissue

doi: 10.1038/s42255-019-0036-9

AMPKは細胞代謝のマスター調節因子である。今回著者たちは、構成的に活性のあるAMPK変異が、皮下白色脂肪細胞のエネルギー消費を増加させることによって高脂肪食摂取マウスの肥満を防ぐことを示した。これは、これまで知られていなかったタイプの脂肪細胞の出現によって起こった可能性がある。

Letter: 嗅覚はマイクロRNA依存性のシグナル伝達によって生物のタンパク質恒常性と寿命を調節する

Olfaction regulates organismal proteostasis and longevity via microRNA-dependent signalling

doi: 10.1038/s42255-019-0033-z

線虫の一種C. elegansでは、嗅覚による食餌の知覚が寿命を延長させることが知られている。今回著者たちは、食餌のにおいに依存する脳から腸へのコミュニケーションで、線虫の寿命が延長することを明らかにした。食餌のにおいは、miRNAであるmiR-71に依存してAWCニューロンのtir-1 mRNAの発現を低下させた。これは、神経ペプチドの分泌を介して、腸において下流の作用を開始させ、タンパク質恒常性を増進して寿命を延長させた。

Article: 脂肪細胞のクレアチン輸送を停止させると熱産生が阻害されて食餌誘発性の肥満が生じる

Ablation of adipocyte creatine transport impairs thermogenesis and causes diet-induced obesity

doi: 10.1038/s42255-019-0035-x

クレアチンは脂肪細胞での熱産生に使用できる。今回Kazakたちは、この熱産生経路の維持にクレアチンの取り込みが必要であることを明らかにした。脂肪細胞のクレアチン輸送体CrTをノックダウンすると、熱産生およびエネルギー消費が低下するが、クレアチンを補充すると高脂肪食摂取マウスのエネルギー消費が上昇した。

Article: FoxO1による腸のインスリン/IGF1シグナル伝達は上皮の完全性と大腸がん感受性を調節する

Intestinal insulin/IGF1 signalling through FoxO1 regulates epithelial integrity and susceptibility to colon cancer

doi: 10.1038/s42255-019-0037-8

肥満は大腸炎関連がん(CAC)のリスク増大と関連する。今回Ostermannたちは、高脂肪食が腸上皮細胞(IEC)のインスリン耐性を誘発すること、またCACマウスモデルでIECのインスリンおよびIGF1シグナル伝達を遺伝的に不活化すると、腸の再生が妨げられて腫瘍形成が高まることを明らかにした。

Article: 白血病の発生や進行の促進においてASCT2の仲介するアミノ酸代謝が果たす重要な役割

Critical role of ASCT2-mediated amino acid metabolism in promoting leukaemia development and progression

doi: 10.1038/s42255-019-0039-6

アミノ酸は細胞の生存および増殖に必要である。しかし、正常な造血と白血病の発生とにおいて異なるアミノ酸代謝経路が要求されるかどうかについては調べられていない。今回著者たちは、中性アミノ酸輸送体に注目し、悪性の血液細胞では正常細胞よりもASCT2の仲介するアミノ酸代謝への依存性が高いことを明らかにした。

Article: 酸化的ペントースリン酸経路によるNADPH生成は葉酸代謝を支持する

NADPH production by the oxidative pentose-phosphate pathway supports folate metabolism

doi: 10.1038/s42255-019-0043-x

酸化的ペントースリン酸経路(oxPPP)は主要なNADPH生成経路である。今回著者たちは、oxPPPを欠損する細胞の増殖はリンゴ酸酵素またはイソクエン酸デヒドロゲナーゼが支持できるが、正常なNADPH/NADP比、DHFR活性、葉酸代謝の維持にはoxPPPが必要であることを明らかにした。

Review Article: がん細胞と幹細胞の代謝シグネチャー

Metabolic signatures of cancer cells and stem cells

doi: 10.1038/s42255-019-0032-0

がん細胞は、幹細胞のように急速に増殖することができるが、幹細胞とは異なり悪性のアイデンティティーにほぼ固定されている。今回FinleyとIntlekoferは、がん細胞と幹細胞の増殖を支える同化経路の共通性を明らかにし、また自己複製と分化に影響を与える特有の代謝的特徴を示した。

Review Article: 脂肪組織代謝の適応と不適応

Metabolic adaptation and maladaptation in adipose tissue

doi: 10.1038/s42255-018-0021-8

脂肪組織は、その大きさ、細胞組成、代謝活性の変化とともに、ホルモンや環境のさまざまな合図に応答する。今回KajimuraとChouchaniは、生理的状態および代謝疾患における脂肪細胞の代謝に関する現時点の理解を概説し、また脂肪細胞の運命や代謝を再プログラムするための戦略を検討した。

Letter: アストロサイトのミトコンドリアROSが脳の代謝とマウスの行動を調節する

Astrocytic mitochondrial ROS modulate brain metabolism and mouse behaviour

doi: 10.1038/s42255-018-0031-6

ニューロンとアストロサイトは、代謝的に協調しているが、ミトコンドリアの活性酸素種(ROS)の産生など、代謝の重要な面で異なっている。今回著者たちは、アストロサイトで産生されたミトコンドリアROSがニューロンの代謝ならびにマウスの記憶や行動に影響を与えることを明らかにした。

Letter: 視床下部弓状核でのニューロン成熟に重要な時期のペリニューロナルネットの形成

Perineuronal net formation during the critical period for neuronal maturation in the hypothalamic arcuate nucleus

doi: 10.1038/s42255-018-0029-0

ペリニューロナルネット(perineuronal net; PNN)は細胞外マトリックス構造であり、皮質および海馬のニューロン可塑性に結び付けられている。今回著者たちは、エネルギー恒常性を調節する視床下部弓状核という重要な領域にPNN様の構造が存在することを報告し、この領域での生後早期のPNN形成がホルモンであるレプチンによる影響を受けることを示した。

Article視床下部のメラノコルチンニューロンの機能アイデンティティーはTbx3に依存する

Functional identity of hypothalamic melanocortin neurons depends on Tbx3

doi: 10.1038/s42255-018-0028-1

視床下部のメラノコルチンニューロンは、食欲を調節することによってエネルギー恒常性を制御している。今回著者たちは、転写因子Tbx3が、マウスの未成熟および成熟のメラノコルチンニューロンにおいて、そのペプチド性ニューロンとしてのアイデンティティーや機能の調節因子としての役割を持つことを明らかにした。

Article: 皮質骨を通過する毛細血管のネットワークは長骨の血液循環の中心である

A network of trans-cortical capillaries as mainstay for blood circulation in long bones

doi: 10.1038/s42255-018-0016-5

骨髄由来の細胞は迅速に全身循環に入ることができるが、それが達成される仕組みは不明である。今回Grüneboomたちは、骨髄腔を全身血管系とつなぐ小さな毛細血管を発見してTCV(trans-cortical vessel)と命名し、長骨の血液の大部分がTCVを通過することを明らかにした。

Article: ヘパトカインTsukushiは褐色脂肪の交感神経支配によってエネルギー消費を制御する

The hepatokine Tsukushi gates energy expenditure via brown fat sympathetic innervation

doi: 10.1038/s42255-018-0020-9

エネルギー消費を促進する循環因子とは対照的に、エネルギー消費を抑制するホルモンはほとんど明らかにされていない。今回Wangたちは、肥満ではヘパトカインTsukushiが上方制御されていて、脂肪の白色化を促進することによって、交感神経活動および熱産生を阻害していることを明らかにした。

Article: ACC1は脂肪酸合成経路を介して記憶CD4+ T細胞への運命決定を制御する

ACC1 determines memory potential of individual CD4+ T cells by regulating de novo fatty acid biosynthesis

doi: 10.1038/s42255-018-0025-4

ACC1は脂肪酸生合成の律速酵素である。今回著者たちは、ACC1の遺伝子欠損が記憶CD4+ T細胞の形成を増強し、マウス寄生虫感染モデルにおいて、効率良く寄生虫を排除する仕組みを明らかにし、脂質生合成経路が記憶T細胞形成への運命決定を制御することを示した。

Article: MANFは加齢における代謝と免疫の恒常性を調節して肝損傷を防ぐ

MANF regulates metabolic and immune homeostasis in ageing and protects against liver damage

doi: 10.1038/s42255-018-0023-6

加齢は免疫機能の低下と代謝疾患に関連している。今回著者たちは、さまざまな生物においてストレス応答タンパク質MANFの血漿レベルが加齢に伴って低下することを示し、またMANFが老齢マウスにおいて特に肝臓での免疫機能および代謝機能に有益な作用を及ぼすことを明らかにした。

Article: TGF-β2はグルコースと脂肪酸の代謝を調節する運動誘発性アディポカインである

TGF-β2 is an exercise-induced adipokine that regulates glucose and fatty acid metabolism

doi: 10.1038/s42255-018-0030-7

運動による多くの有益な効果は、運動中に筋肉から分泌される因子、いわゆるマイオカインによって仲介されている。今回著者たちは、TGF-β2が運動誘発性アディポカインと考えられることを初めて明らかにした。TGF-β2は、運動が誘発する血清乳酸値の上昇に応答して皮下脂肪から分泌され、マウスにおいて有益な代謝効果を発揮した。

Review Article: クレブス回路の代謝物を免疫およびがんのシグナル伝達と結び付ける

Coupling Krebs cycle metabolites to signalling in immunity and cancer

doi: 10.1038/s42255-018-0014-7

クレブス回路の代謝中間体は生体エネルギーおよび生合成の要求を満たしているが、近年はシグナル伝達との結び付きも明らかにされている。今回のReviewの著者たちは、コハク酸、フマル酸、イタコン酸、2-ヒドロキシグルタル酸異性体、アセチルCoAが発揮するそうした非代謝的シグナル伝達機能を免疫細胞とがん細胞の両方においてまとめた。

Review Article: 生物のエネルギー恒常性の微生物による調節

Microbial regulation of organismal energy homeostasis

doi: 10.1038/s42255-018-0017-4

腸内マイクロバイオームは、宿主の生理機能や、代謝疾患などの疾患の重要な調節要因であることが明らかになってきた。今回Caniたちは、腸内微生物相が宿主の代謝調節に影響を及ぼす機構について概説した。

Article: Slc12a8はニコチンアミドモノヌクレオチド輸送体である

Slc12a8 is a nicotinamide mononucleotide transporter

doi: 10.1038/s42255-018-0009-4

ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)はNAD+の生合成前駆体であるが、NMNがどのようにして細胞内に取り込まれるのかは、完全に解明されているわけではない。今回著者たちは、Slc12a8遺伝子がNMNの特異的輸送体をコードすることを発見した。この輸送体はin vitroおよびin vivoのマウス腸内で、NMNの取り込みと細胞のNAD+レベルを調節していた。

Article: トランスフェリン受容体2はBMPおよびWntシグナル伝達を介して骨量と病的骨形成を制御する

Transferrin receptor 2 controls bone mass and pathological bone formation via BMP and Wnt signalling

doi: 10.1038/s42255-018-0005-8

トランスフェリン受容体2(Trf2)は、肝臓内で働いて鉄恒常性を調節することが知られている。今回著者たちは、Trf2が骨芽細胞特異的にBMPシグナル伝達を調節することで骨恒常性を調節するという、これまで知られていなかった役割を報告した。

Article: ギブスエネルギー散逸の上限が細胞の代謝を支配する

An upper limit on Gibbs energy dissipation governs cellular metabolism

doi: 10.1038/s42255-018-0006-7

生物が異なっても代謝フラックスのパターンは類似しているが、その根底を支配している原理は未解明である。今回Niebelたちは、制約に基づく熱力学・化学量論モデルとともに定量的なメタボロームおよび生理学的データを用いることにより、細胞のギブスエネルギー散逸率の上限を発見した。これは各種の生物の代謝を決定付けている可能性がある。

Article: 皮膚繊維芽細胞の代謝調節は皮膚の細胞外マトリックスの恒常性および繊維症に関与する

Metabolic regulation of dermal fibroblasts contributes to skin extracellular matrix homeostasis and fibrosis

doi: 10.1038/s42255-018-0008-5

細胞外マトリックス(ECM)の恒常性は組織の正常な機能に不可欠であり、損傷や外傷、疾患で恒常性が乱されると繊維症が生じる。今回著者たちは、解糖と脂肪酸酸化経路が繊維芽細胞の挙動を調節しており、それぞれがECMの上方制御と下方制御において相反する影響を持つことを明らかにした。

Article: 血管新生中の内皮細胞の増殖にはミトコンドリアの複合体IIIが必要である

Mitochondrial complex III is necessary for endothelial cell proliferation during angiogenesis

doi: 10.1038/s42255-018-0011-x

血管新生では内皮細胞(EC)が解糖を要求するが、この過程におけるミトコンドリア呼吸鎖の働きは明らかにされていない。今回著者たちは、ECの増殖にはミトコンドリアの生合成の役割が必要であり、血管新生にはECのミトコンドリア呼吸が必要であることを明らかにした。

News & Views: 血管疾患:マイクロRNA活性をアテローム性動脈硬化防御作用に結び付けるlncRNA

Lnc-ing microRNA activity to atheroprotection

doi: 10.1038/s42255-018-0012-9

細胞や血管へのコレステロールの蓄積は血管疾患の発生を促す。長鎖非コードRNA (lncRNA)であるCHROMEは、過剰なコレステロールの除去に役立ち、アテローム性動脈硬化を防御することができる。

Article: 長鎖非コードRNAであるCHROMEは霊長類においてコレステロール恒常性を調節する

The long noncoding RNA CHROME regulates cholesterol homeostasis in primates

doi: 10.1038/s42255-018-0004-9

コレステロール恒常性の維持はヒトの健康に不可欠である。今回著者たちは、CHROMEと呼ばれる、霊長類特異的な長鎖非コードRNAを特定して特徴付けを行い、CHROME がmiRNAの微調節によりコレステロール恒常性を制御すること、また、CHROMEの レベルはヒトのアテローム性動脈硬化で上昇していることを示した。

Article: 脂肪細胞でのホルモン感受性リパーゼとChREBPの相互作用がインスリン感受性を制御する

Interaction between hormone-sensitive lipase and ChREBP in fat cells controls insulin sensitivity

doi: 10.1038/s42255-018-0007-6

脂肪細胞でのインスリンシグナル伝達の障害はインスリン抵抗性の特徴である。今回著者たちは、ホルモン感受性リパーゼが細胞質にグルコース応答性転写因子ChREBPを隔離できること、これによってその標的であるELOVL6の転写が妨げられ、インスリンシグナル伝達が低下することを示した。

Article: アンドロゲン受容体が駆動する前立腺がんではミトコンドリアのピルビン酸の取り込みが代謝脆弱性である

Mitochondrial pyruvate import is a metabolic vulnerability in androgen receptor-driven prostate cancer

doi: 10.1038/s42255-018-0002-y

前立腺腺がんにおいてアンドロゲン受容体(AR)が駆動する増殖の代謝依存性はほとんど分かっていないが、ホルモン療法が有効でない場合には、治療標的になるかもしれない。今回著者たちは、ミトコンドリアピルビン酸輸送体(MPC)がARによる転写調節を受けること、また、MPCを阻害すると、ホルモン感受性前立腺がんおよび去勢抵抗性前立腺がんにおいて腫瘍の増殖が抑制されることを実証した。

Article: 肥満においてはANT2のノックダウンにより、脂肪細胞の低酸素状態が低減し、インスリン抵抗性が改善される

Knockdown of ANT2 reduces adipocyte hypoxia and improves insulin resistance in obesity

doi: 10.1038/s42255-018-0003-x

肥満や脂肪組織の機能不全では低酸素状態が引き起こされることが知られている。今回著者たちは、高脂肪食摂取の開始後早期に、ミトコンドリアタンパク質ANT2(adenine nucleotide translocase 2)が活性化されることで、脂肪細胞の酸素消費が上昇すること、また、ANT2を特異的に阻害すると、脂肪組織の低酸素状態、炎症、インスリン抵抗性が低減することを示した。

Article: GIPは骨髄細胞由来のS100A8/A9を抑制することで炎症や体重を調節する

GIP regulates inflammation and body weight by restraining myeloid-cell-derived S100A8/A9

doi: 10.1038/s42255-018-0001-z

グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド(GIP)は、栄養に応答して放出される腸のインクレチンホルモンである。今回著者たちは、骨髄細胞においてGIP受容体シグナル伝達を喪失させると、脂肪組織において炎症性S100A8/A9の放出が促進されることを示し、GIPの抗炎症および抗肥満の機構を報告した。

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