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Nature Machine Intelligence に掲載された一次研究論文(Articles および Letters)について、その概要を日本語で紹介しています。

2019年4月

Perspective: 自然知能の愚かさの研究から得られた教訓を人工知能にいかす

Lessons for artificial intelligence from the study of natural stupidity

doi: 10.1038/s42256-019-0038-z

人工知能や機械学習システムはバイアスを再現したり増幅したりすることがある。著者らは人間の学習や意思決定のバイアスに関する文献について議論し、研究者や政策立案者や一般市民が機械によるアウトプットや決定を評価する際には、そうしたバイアスを意識するべきであると提案している。

Article: 単語のベクトル表現から文脈に特有の相互作用ネットワークを構築する

Context-specific interaction networks from vector representation of words

doi: 10.1038/s42256-019-0036-1

生物医学論文は豊かな知識源であるが、十分に活用されているとは言いがたい。INtERAcTは、分子相互作用を推定するために、がん関連の論文のコーパスで訓練された単語の埋め込みを利用している。このアルゴリズムは、小さなサイズのコーパスでも、10種類のがんに関連する分子パスウェイを再構築することができる。

Article: モデルベースのディープラーニングアプローチによるシングルセルRNA-Seqデータのクラスタリング

Clustering single-cell RNA-seq data with a model-based deep learning approach

doi: 10.1038/s42256-019-0037-0

シングルセルRNAシーケンシングデータセットにおける細胞群のクラスタリングは、複雑な生物学的問題に対して高解像度の情報を産み出しうる。しかしながら、RNAキャプチャー率が低いために統計的にも計算科学的にも困難で、 大量の誤ったゼロカウントが観測される。scDeepClusterと名づけられたディープラーニングのアプローチは、欠失値を明示的に特徴付けるモデルをクラスタリングと効率よく組み合わせており、高いパフォーマンスを示すだけでなく、スケーラビリティも改善しており、計算時間はサンプルサイズに比例して増加する。

2019年3月

Review Article: 人工システムと生体システムにおける強化学習

Reinforcement learning in artificial and biological systems

doi: 10.1038/s42256-019-0025-4

人工エージェントにおける機械学習に関する研究では、静的な環境内での1つの複雑な問題が注目されている。生体エージェントの研究では、柔軟で動的な環境に埋め込まれた単純な学習問題が注目されている。著者らはこれらのトピックスに関する文献をレビューし、両者の相乗効果が期待される分野を示す。

Article: 限られた経験による腱駆動式ロボット肢の自律的で機能的な運動

Autonomous functional movements in a tendon-driven limb via limited experience

doi: 10.1038/s42256-019-0029-0

ロボットが複雑なタスクを行うためには、自身と動的な環境との関係を学習する必要がある。ハードウェアとソフトウェアのデザインへの生物学的に妥当なアプローチは、腱駆動式のロボット肢が短時間の学習にもとづいて効果的に運動できることを示している。

Article: 生成モデルによる量子状態の再構成

Reconstructing quantum states with generative models

doi: 10.1038/s42256-019-0028-1

今日の量子技術は数十キュービットでの計算を可能にしており、まもなく数百キュービットでの計算も可能になると考えられている。完全な量子状態の測定と評価は、システムサイズとともに指数関数的に増大するタスクであり、大きな未解決課題になっている。制限ボルツマンマシンと再帰型ニューラルネットワークにもとづく生成モデルは、この量子トモグラフィー問題をスケーラブルな方法で解決するのに利用できる。

2019年2月

Perspective: フィクションと現実世界における知能機械への希望と不安

Hopes and fears for intelligent machines in fiction and reality

doi: 10.1038/s42256-019-0020-9

人工知能をテーマにした300点のフィクションとノンフィクションの調査から、人々が想像する知能機械への希望と、それに対応する不安が、4つのカテゴリーに分類できることが明らかになった。これらの認識は、現在のテクノロジーで現実的に可能かどうかとは別に、AIの科学的な目標や一般市民の理解や規制に影響を及ぼすものである。

Perspective: 人工知能研究における引用グラフの変化

The evolution of citation graphs in artificial intelligence research

doi: 10.1038/s42256-019-0024-5

過去と現在のAI研究の計量書誌学的解析の結果、AI研究の影響が関連分野に広がりにくくなっていることが分かった。これはAI研究者と関連する社会科学分野の研究者との意見交換が困難になっていることを意味しているのかもしれない。

Article: Whetstone(砥石)法でのバイナリ通信のためのディープニューラルネットワークの訓練

Training deep neural networks for binary communication with the Whetstone method

doi: 10.1038/s42256-018-0015-y

神経形態学的プロセッサーはディープラーニングのための低電力プラットフォームとして有望視されているが、バイナリ通信に適合したニューラルネットワークを必要とする。Whetstone(砥石)法は、訓練過程で活性化関数を徐々に鋭くしていくことによりこれを達成している。

Article: 人間の生存予測のためのディープラーニング心運動解析

Deep-learning cardiac motion analysis for human survival prediction

doi: 10.1038/s42256-019-0019-2

全層畳み込みニューラルネットワークを用いて、心臓画像の時間分解3次元高密度分割が作り出された。この高密度の運動モデルは、人間の生存を効率よく予測できる4Dsurvivalという教師ありシステムへの入力となる。

Article: DNAへのフィードバックGANがタンパク質機能を最適化する

Feedback GAN for DNA optimizes protein functions

doi: 10.1038/s42256-019-0017-4

機械学習における生成モデルは、合成生物学の分野でDNA配列やタンパク質やその他の高分子などの新しい構造を見つけ出すのに用いられ、創薬や環境処理や製造業への応用が期待されている。GuptaとZouは、合成遺伝子を生成する敵対的生成ネットワーク(GAN)の出力を最適化して抗菌ペプチドを特異的にコードする遺伝子を作出するためのフィードバックループ構造を提案しin silicoで例示する。

Article: 医療画像解析におけるニューラルネットワークの訓練を簡便にするための統合的な繰り返しアノテーション技術

An integrated iterative annotation technique for easing neural network training in medical image analysis

doi: 10.1038/s42256-019-0018-3

医療画像データのアノテーションは生物学のエキスパートを必要とする。人間-機械間のインターフェースは、ディープラーニングの画像分割システムと、画像をアノテーションづけするための閲覧ソフトウェアの画像とを結びつけるものである。

2019年1月

Perspective: 身体化人工知能の材料から機械までの進化

Evolving embodied intelligence from materials to machines

doi: 10.1038/s42256-018-0009-9

計算材料技術、付加製造法と除去製造法、進化計算法の進歩に基づくロボット工学の新しいビジョンから、特定の業務や環境条件に特化したさまざまな専門的なロボットの設計法が見えてくる。

Perspective: 医療分野の意思決定への機械による支援には不確かさの定量化が必要

The need for uncertainty quantification in machine-assisted medical decision making

doi: 10.1038/s42256-018-0004-1

ディープラーニングの応用の中でも特に有望で重要なのは、おそらく医学研究と医療分野の意思決定の支援である。今こそディープラーニング過程に内在する不確かさを系統的に定量化する手法を開発する時期であり、これによりAIに基づくアプローチの実用可能性への信頼度を高めることができる。

Review Article: ニューロ進化によりニューラルネットワークをデザインする

Designing neural networks through neuroevolution

doi: 10.1038/s42256-018-0006-z

広く用いられている誤差逆伝搬法というトレーニング法などにより、ディープニューラルネットワークは、ある種の機械学習タスクについては大成功をおさめるようになってきている。ニューラルネットワークを最適化するもう1つの方法は進化アルゴリズムを用いることである。進化アルゴリズムは、計算力の向上に支えられて、新しいタイプの能力や学習様式を提供している。

Article: 人-ロボット間の多用途の物理的相互作用における微分ゲーム理論

Differential game theory for versatile physical human–robot interaction

doi: 10.1038/s42256-018-0010-3

ロボットは人間の行動を推定して適応する必要があり、人間の動きが時間とともに変化する場合には特にその必要が大きくなる。今回、適応型ゲーム理論コントローラーが、リーチング課題における人間の行動へのロボットの適応を助けることが示された。

Article: 学習可能性も決定不可能になりうる

Learnability can be undecidable

doi: 10.1038/s42256-018-0002-3

ゲーデルの有名な不完全性定理によれば、すべての数学的な問いが解けるわけではない。機械学習についても同様に決定不可能な場合があることが、学習可能性を証明することも反証することもできない問題例によって示された。

Article: メモリスタクロスバーアレイにおける長短期記憶ネットワーク

Long short-term memory networks in memristor crossbar arrays

doi: 10.1038/s42256-018-0001-4

ディープニューラルネットワークはデータ集約型アプリケーションで広く用いられるようになってきたが、電力を大量に消費する。ディープラーニングのタスクには、データの処理と計算を同じユニットで行うメモリスタアレイのような新しいタイプのコンピューターチップが必要である。よく使われているLong short-term memory(LSTM、長短期記憶)というディープラーニングモデルは、時系列データ分析を扱うことができるが、これをメモリスタクロスバーアレイに実装することで、エネルギー効率が良く資源消費量の少ないディープラーニングプラットフォームが期待できる。

Article: アルゴリズム生成モデルによる原因解析

Causal deconvolution by algorithmic generative models

doi: 10.1038/s42256-018-0005-0

ほとんどの機械学習アプローチは、根本となる原因機構ではなく統計的な特性をデータから抽出している。これとは異なるアプローチでは、計算可能性とアルゴリズム情報理論の枠組みのもと、生成モデルを用いてデータから再帰的パターンを抽出する一般的な方法で情報を解析している。

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