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Communications Chemistry に掲載された一次研究論文(Articles および Letters)について、その概要を日本語で紹介しています。

Article: 空気-水界面の時間依存性振動和周波発生分光計測

Time-dependent vibrational sum-frequency generation spectroscopy of the air-water interface

doi: 10.1038/s42004-019-0220-6

振動和周波発生分光法は、空気-水界面における高速ダイナミクスを研究するための強力な手法となるが、スペクトルダイナミクスと分子ダイナミクスの関係付けは、計算コストが高くつく可能性がある。本論文では、界面系の時間依存性周波数分解SFGスペクトルを計算する単純な方法が報告されている。

Article: タンパク質-リガンド複合体の構造安定性の解析で明らかになった秩序と無秩序のバランス

An investigation of structural stability in protein-ligand complexes reveals the balance between order and disorder

doi: 10.1038/s42004-019-0205-5

タンパク質における構造安定性とリガンド結合の関係が議論の的になっている。本論文では、dynamic undocking (DUck)という計算手法によって、一連のタンパク質-リガンド複合体の構造ロバスト性が個々の水素結合と関係付けられている。

Article: リチウム酸素電池のOER/ORR触媒活性向上に向けた2D材料の機能化

Functionalization of 2D materials for enhancing OER/ORR catalytic activity in Li–oxygen batteries

doi: 10.1038/s42004-019-0196-2

リチウム酸素電池は、過電圧印加に起因して劣化する傾向にある。本論文では、窒化チタンMXeneと炭化チタンMXeneの表面機能化が理論的に研究され、通常のグラフェン系触媒と比較すると、機能化によって過電圧が最高で80%低下し、ORRが60倍になることが示されている。

Article: 遷移金属酸化物光触媒のバンド端の明確な溶媒和予測のための最適な方法

Optimal methodology for explicit solvation prediction of band edges of transition metal oxide photocatalysts

doi: 10.1038/s42004-019-0179-3

伝導バンド端と価電子バンド端のエネルギーは光触媒性能のカギとなるが、実験による測定値は一致しない。本論文では、第一原理密度汎関数理論を用いて、さまざまな遷移金属酸化物のバンド端の位置が予測されている。

Article: コンピューターによる多形スクリーニングによって明らかになった遅く現れる難溶性形態のロチゴチン

Computational polymorph screening reveals late-appearing and poorly-soluble form of rotigotine

doi: 10.1038/s42004-019-0171-y

医薬品開発時に、多形を示す可能性のある系をスクリーニングすることが重要である。本論文では、コンピューターによる結晶構造予測解析によって、事前情報なしに、遅く現れる低溶解性多形体のロチゴチンを特定できることが実証されている。

Article: Ge2Sb2Te5における立方晶から六方晶への漸進的相転移に誘起される陽イオンマイグレーションの直接的原子同定

Direct atomic identification of cation migration induced gradual cubic-to-hexagonal phase transition in Ge2Sb2Te5

doi: 10.1038/s42004-019-0114-7

相変化ランダム・アクセス・メモリーは、準安定な岩塩型構造から安定な六方晶構造への相転移に基づいているが、そうした相転移の詳細はまだよくわかっていない。本論文では、原子分解能のエネルギー分散型X線分光法を用いて、相転移中の原子レベルの再配列が調べられている。

Article: 自己放出可能なアニオンテンプレートによる中空硫化銀クラスターの触媒的アセンブリー

Catalyzed assembly of hollow silver-sulfide cluster through self-releasable anion template

doi: 10.1038/s42004-018-0102-3

中空ナノ構造体の合理的構築は、形成経路の解明と中間体の観測が難しいため、困難である。本論文では、中空Ag56クラスターの形成が調べられ、触媒的な自己放出型テンプレートの形成機構が特定されている。

Article: 磁気通信の強化に向けた空気中で安定なラジカル配位子を導入した調節可能なランタニドキュバン・プラットフォーム

A tunable lanthanide cubane platform incorporating air-stable radical ligands for enhanced magnetic communication

doi: 10.1038/s42004-018-0090-3

ランタニドキュバンは、磁性分子の設計に興味深いモチーフであるが、概してイオン間の磁気交換が弱い。本論文では、空気中で安定なラジカル配位子を導入したランタニドキュバンの合成、続いて分子内磁気結合の増強が報告されている。

Article: 16個の価電子を持つオスミウムを導入したペンタレンのS0およびT1状態における適応的芳香族性

Adaptive aromaticity in S0 and T1 states of pentalene incorporating 16 valence electron osmium

doi: 10.1038/s42004-018-0018-y

ヒュッケル則とベアード則によると、一重項基底状態で芳香族性の化合物は最低三重項状態で反芳香族性であり、その逆も成り立つ。本論文では、オスマペンタレンは一重項基底状態でも最低三重項状態でも芳香族性であることを示すDFT計算結果が報告されている。

Article: 金ホイル上での単層平行四辺形二セレン化レニウムの直接合成およびin situキャラクタリゼーション

Direct synthesis and in situ characterization of monolayer parallelogrammic rhenium diselenide on gold foil

doi: 10.1038/s42004-018-0010-6

単層遷移金属ダイカルコゲナイド結晶の合成を改良するには、ドメイン構造や境界構造に関する知見が必要である。本論文では、化学気相成長法で金ホイル上に単層二セレン化レニウムを形成することで、in situでドメイン構造や欠陥構造の解析を可能にしている。

Article: 三次元共有結合性有機構造体の合成におけるアプローチと課題

Approaches and challenges in the synthesis of three-dimensional covalent-organic frameworks

doi: 10.1038/s42004-018-0098-8

三次元共有結合性有機構造体は、二次元共有結合性有機構造体よりも研究例が少ないものの、魅力的な機能性材料である。本論文では、三次元共有結合性有機構造体化合物を合成するアプローチを概説するとともに、この分野の研究者が直面する主な課題にスポットを当てている。

Article: シンクロトロンX線によるMOF被覆パラジウムナノキューブにおける水素貯蔵の電子的起源

Electronic origin of hydrogen storage in MOF-covered palladium nanocubes investigated by synchrotron X-rays

doi: 10.1038/s42004-018-0058-3

遷移金属ナノ粒子とMOFのハイブリッド材料系は有望な水素貯蔵特性を示すが、その界面相互作用の性質はまだよくわかっていない。本論文では、計算手法と分光法を用いて、パラジウムナノキューブ-MOF系における電子構造と電荷移動過程が調べられている。

Article: 調節可能な発光と高効率蛍光センシングのための汎用的な二金属ランタニド金属有機構造体

Versatile bimetallic lanthanide metal-organic frameworks for tunable emission and efficient fluorescence sensing

doi: 10.1038/s42004-018-0016-0

水中の金属イオンや揮発性有機化合物を識別する汎用的な発光プラットフォームを開発することは、困難である。本研究では、二金属ランタニド金属有機構造体を含有する膜が、数秒以内に水中の第二鉄イオンを、数分以内にスチレン蒸気を選択的に認識している。

Article: 金属有機構造体による芳香族ニトロ化合物のセンシングに関する機構的知見

Mechanistic insight into the sensing of nitroaromatic compounds by metal-organic frameworks

doi: 10.1038/s42004-019-0135-2

金属有機構造体は、爆発性化合物のセンサーとして使用できる可能性があると提案されることが多いが、正確なセンシング機構はまだよくわかっていない。本論文では、水酸基で官能基化されたMOFが芳香族ニトロ化合物と相互作用した際の蛍光消光機構が実験で評価されている。

Article: スーパーキャパシター性能を向上させるための垂直共配向二次元金属有機構造体

Vertically co-oriented two dimensional metal-organic frameworks for packaging enhanced supercapacitive performance

doi: 10.1038/s42004-017-0005-8

金属有機構造体は、将来のエネルギー貯蔵材料候補であるが、低い伝導性と電流コレクター上でのランダムな結晶配向による制約がある。本研究では、カーボンナノウォールに支持された均一配向結晶を取り入れた電極を作製することによって、電気化学的性能が向上している。

Article: 水素駆動型の高効率微生物電気合成に向けたロバストな生体適合性触媒

Robust and biocompatible catalysts for efficient hydrogen-driven microbial electrosynthesis

doi: 10.1038/s42004-019-0145-0

電極触媒と生体触媒を用いるCO2還元によって、化学品や燃料の持続可能な生産を可能にする有望な手段が得られる。 本論文では、メタン生成微生物やホモ酢酸生成微生物と豊富に存在する元素からなる電極を組み合わせることで、クーロン効率が最高100%のロバストな高速・選択的CO2還元が可能になっている。

Article: シクロフィリン変異体におけるアロステリック効果はナノ-マイクロ秒時間スケールの運動の変化によって説明される可能性がある

Allosteric effects in cyclophilin mutants may be explained by changes in nano-microsecond time scale motions

doi: 10.1038/s42004-019-0136-1

酵素における分子運動と触媒作用の関係が議論の的になっている。本論文では、シクロフィリンAと触媒機能が欠損した3つの変異体のシミュレーションによって、活性構造と不活性構造の間でナノ秒スケールの相互変換が起こることが明らかになっている。この時間スケールはこれまで示された値よりも数桁速い。

Article: 改変クロトナーゼを用いる、3連続キラル中心を持つ二環式β-ラクタムの生体触媒的生成

Biocatalytic production of bicyclic β-lactams with three contiguous chiral centres using engineered crotonases

doi: 10.1038/s42004-018-0106-z

β-ラクタムは重要な抗生物質であるが、高いエナンチオマー純度で官能性誘導体を合成することは困難なことがある。本論文では、エナンチオ選択的マルチ酵素カスケードにマロニル-CoA誘導体を適用することで、3連続キラル中心を持つβ-ラクタムを高いジアステレオマー純度で得ている。

Article: コリノイドタンパク質が関与するシャトル触媒反応コンセプトによる生体触媒的メチル化および脱メチル化

Biocatalytic methylation and demethylation via a shuttle catalysis concept involving corrinoid proteins

doi: 10.1038/s42004-018-0083-2

温和な条件下でC-O-エーテル結合を可逆的に形成・切断する位置選択的な方法が求められている。本論文では、コリノイド依存性メチルトランスフェラーゼを用いて各種フェニルメチルエーテルの脱メチル化や置換カテコールの官能基化を行う生体触媒的シャトルコンセプトが報告されている。

Article: 人工金属酵素を用いた生細胞の表面修飾による細胞表面での触媒反応

On-cell catalysis by surface engineering of live cells with an artificial metalloenzyme

doi: 10.1038/s42004-018-0087-y

生細胞の表面機能化によって合成生物学や薬物送達に向けての機会がもたらされる。本論文では、人工アリルデアリラーゼ(allylic deallylase)をコナミドリムシ(C. reinhardtii)の細胞表面に共有結合させ、in situで活性が維持されることを示している。

Article: 光駆動分子アセンブラーに向けて

Towards a light driven molecular assembler

doi: 10.1038/s42004-019-0163-y

光をエネルギー源として用いて吸エルゴン反応を駆動する系を設計することは、大きな課題である。 本論文では、光スイッチング可能な配位子を用いて、溶液中で不安定な環状四バナジン酸種を形成している。

Article: 電荷可変の超分子ケージにおけるイオン対生成と水和をマイクロ波マイクロ流体工学によって測定する

Measuring ion-pairing and hydration in variable charge supramolecular cages with microwave microfluidics

doi: 10.1038/s42004-019-0157-9

金属有機超分子ケージの水和とイオン対生成は、ゲストとの相互作用において重要な役割を果たすが、標準的な分析では定量化が困難である。本論文では、マイクロ波マイクロ流体工学を利用して、2種類の四面体金属有機ケージの水和とイオン対生成を測定したことが示されている。

Article: 透明から暗色へと変化するフォト・エレクトロクロミックゲル

Transparent-to-dark photo- and electrochromic gels

doi: 10.1038/s42004-018-0075-2

色や不透明度をスイッチングできる材料は、「スマートウィンドウ」の構成要素として有望である。本論文では、ナフタレンジイミドゲルの自己集合に基づくフォト・エレクトロクロミックデバイスにおいて、透明から黒色への光化学的または電気化学的な転移が可逆的に起こることが示されている。

Article: 対称性に基づく合理的設計によるキロプティカル応答の向上

Symmetry-based rational design for boosting chiroptical responses

doi: 10.1038/s42004-018-0035-x

キラルモノマーを組み合わせることでキロプティカル特性を高めることができるが、設計の指針はほとんど存在していない。本論文では、実験と計算を組み合わせた研究によって、円二色性および円偏光発光において高いキロプティカル応答を示すダブルヘキサヘリセンを設計する合理的な指針が提示されている。

Article: 水中で極めて高い熱安定性を示す立方体型集合体

Hyperthermostable cube-shaped assembly in water

doi: 10.1038/s42004-018-0014-2

水中で熱的に安定な構造体を自己集合によって形成することは、超分子化学における課題である。本論文では、弱い分子間力の協同作用によって両親媒性物質が会合し、水中で150 °Cまで安定な立方体型集合体が形成されている。

Article: X線スペクトロタイコグラフィーと教師なし学習による酸素拡散駆動型の酸化挙動と軌跡領域の可視化

Oxygen-diffusion-driven oxidation behavior and tracking areas visualized by X-ray spectro-ptychography with unsupervised learning

doi: 10.1038/s42004-019-0147-y

セリウム–ジルコニウム固体は、不均一系触媒反応において重要な材料であるが、バルク試料中の酸素吸蔵・拡散を理解することは困難である。本論文では、三次元硬X線スペクトロタイコグラフィーと教師なし学習を用いて、反応事象がナノスケールで化学的に画像化されている。

Article: 水素駆動型の高効率微生物電気合成に向けたロバストな生体適合性触媒

Robust and biocompatible catalysts for efficient hydrogen-driven microbial electrosynthesis

doi: 10.1038/s42004-019-0145-0

電極触媒と生体触媒を用いるCO2還元によって、化学品や燃料の持続可能な生産を可能にする有望な手段が得られる。本論文では、メタン生成微生物やホモ酢酸生成微生物と豊富に存在する元素からなる電極を組み合わせることで、クーロン効率が最高100%のロバストな高速・選択的CO2還元が可能になっている。

Article: 白金ナノクラスターが活性サイトとなることを解明したことによって実現されたホルムアルデヒド酸化向けの触媒担持量の低減

Unravelling platinum nanoclusters as active sites to lower the catalyst loading for formaldehyde oxidation

doi: 10.1038/s42004-019-0129-0

貴金属の使用量が最小となる不均一系触媒組成を特定することは重要である。本論文では、白金系のホルムアルデヒド酸化触媒のサイズ-活性挙動が解析され、ナノメートルスケールのナノクラスターが最も効果的となる火山型の関係が確認されている。

Article: 可視光照射下での水素発生触媒としてのグラファイト状窒化炭素表面上の原子状パラジウム

Atomic palladium on graphitic carbon nitride as a hydrogen evolution catalyst under visible light irradiation

doi: 10.1038/s42004-019-0117-4

貴金属担持量の少ない安定な単原子触媒は光駆動水素発生において極めて重要であるが、可視光照射下での触媒挙動はまだよくわかっていない。本論文では、可視光の下で高い触媒活性を示すグラファイト状窒化炭素表面上の原子状パラジウムの開発と解析が行われている。

Article: 原子スケールのコバルト系不均一系触媒を用いる1, 2-ジオールの酸素酸化的開裂

Aerobic oxidative cleavage of 1, 2-diols catalyzed by atomic-scale cobalt-based heterogeneous catalyst

doi: 10.1038/s42004-019-0116-5

1, 2-ジオールのC–C結合の酸化的開裂は重要な変換であるが、この変換向けの再利用可能で温和な酸素触媒系がない。本論文では、触媒の活性と再利用可能性の向上のためにNドープ炭素上に原子状分散したコバルトが提示され、その反応経路が調べられている。

Article: 強発光性オスミウム(VI)ニトリド錯体によるアルカンおよびアレーンの光化学的窒素化

Photochemical nitrogenation of alkanes and arenes by a strongly luminescent osmium(VI) nitrido complex

doi: 10.1038/s42004-019-0142-3

可視光照射によるC-H結合の活性化は、エネルギー効率の高い有機変換を実現する上で課題となっている。本論文では、オスミウム(VI)ニトリド錯体が励起状態で強い求電子剤として働くことによって環状アルカンやアレーンを窒素化できることが示されている。

Article: Ge2Sb2Te5における立方晶から六方晶への漸進的相転移に誘起される陽イオンマイグレーションの直接的原子同定

Direct atomic identification of cation migration induced gradual cubic-to-hexagonal phase transition in Ge2Sb2Te5

doi: 10.1038/s42004-019-0114-7

相変化ランダム・アクセス・メモリーは、準安定な岩塩型構造から安定な六方晶構造への相転移に基づいているが、そうした相転移の詳細はまだよくわかっていない。本論文では、原子分解能のエネルギー分散型X線分光法を用いて、相転移中の原子レベルの再配列が調べられている。

Article: エキシマー反応と励起状態分子内プロトン移動の相互作用によって誘起されるメカノクロミズム

Mechanochromism induced through the interplay between excimer reaction and excited state intramolecular proton transfer

doi: 10.1038/s42004-019-0113-8

励起状態分子内プロトン移動とエキシマー形成の共役は、基本的に重要だがめったに観察されない現象である。本論文では、定常状態分光法と時間分解分光法を組み合わせることによって、チアゾール系有機結晶においてこうした相互作用を観察している。

Article: 核生成能が低い物質との界面における液体金属の核生成前層化の原子論

Atomistics of pre-nucleation layering of liquid metals at the interface with poor nucleants

doi: 10.1038/s42004-018-0104-1

異種界面における液体の層化は一般的な現象であるが、ほとんど理解されていない。本論文では、in situ X線結晶トランケーションロッド(CTR)解析とab-initio分子動力学シミュレーションを併用することによって、サファイア–Al 固体/液体界面における核生成前の液体の層化が調べられている。

Article: 分子反応時間の強い分散は幾何学的制御と反応制御の相互作用に起因する

Strong defocusing of molecular reaction times results from an interplay of geometry and reaction control

doi: 10.1038/s42004-018-0096-x

反応物質がナノモル濃度で存在する場合、現実の状況下では平均速度の概念が破綻する。本論文では、反応時間の全分布が示され、幾何学的制御と反応制御の概念が導入され、対応する反応深さの計算によって各領域が定量化されている。

Article: 大型中性生体高分子のインタクト発射と光イオン化の質量限界を押し上げる

Pushing the mass limit for intact launch and photoionization of large neutral biopolymers

doi: 10.1038/s42004-018-0095-y

中性生体高分子ビームの生成と検出は、特に高質量ペプチドの分析における重要課題である。本論文では、トリプトファンが多く含まれるため20 kDaを超える質量でも光イオン化可能な複雑なポリペプチドを、フェムト秒レーザー脱離によってインタクトで揮発できることが示されている。

Article: 官能基を持つ大気中有機エアロゾルの化学組成における多様性とばらつきの遍在

An omnipresent diversity and variability in the chemical composition of atmospheric functionalized organic aerosol

doi: 10.1038/s42004-018-0074-3

有機エアロゾルの分子レベルの詳細なスペシエーションは、非常に難しい課題である。本論文では、全く異なる3か所の現地サイトから採取された官能基を持つ有機エアロゾルが分子レベルで広範に相互比較されており、各現地サイトの試料間で組成が大きくばらついていることが明らかになっている。

Article: 14N NMR分光法で調べられた固体ポリペプチドにおける双極子カップリング

Dipolar couplings in solid polypeptides probed by 14N NMR spectroscopy

doi: 10.1038/s42004-018-0072-5

窒素核の固体NMRは、タンパク質の構造を解明する強力な手段をもたらすが、同位体標識が必要になることが多い。本論文では、空間を通しての窒素14とプロトンの相互作用によって、窒素15の同位体濃縮を必要とせずにシクロスポリンの構造帰属が可能になっている。

Article: ナノ粒子表面の疎水性の直接定量化

Direct quantification of nanoparticle surface hydrophobicity

doi: 10.1038/s42004-018-0054-7

ナノ物質の疎水性は、その挙動、特に生物系との相互作用に強い影響を及ぼす可能性があるが、溶液中で疎水性を定量化することは困難である。本論文では、設計されたコレクターとの結合を速度論的に解析することによって、溶液中のナノ粒子の表面疎水性を定量的に測定している。

Article: 短鎖アルコールの触媒的脱水時に生成した短寿命カチオン種のプロファイリング

Profiling the short-lived cationic species generated during catalytic dehydration of short-chain alcohols

doi: 10.1038/s42004-018-0053-8

カチオン種は、多くの触媒プロセスに関与しているが、量が少なく寿命が短いため検出が難しいことがある。本論文では、モデル触媒マイクロリアクターをオービトラップ型質量分析計のイオン導入口に直接取り付け、短鎖アルコールの触媒的脱水において数百のカチオン種を直接検出している。

Article: アミノ酸とそのフラグメントの電気化学的気相分析

Gas phase electrochemical analysis of amino acids and their fragments

doi: 10.1038/s42004-018-0046-7

電気化学的分析は、化学反応機構を深く理解する機会をもたらす可能性があるが、通常、液相中または固相中で行われる。本論文では、気相サイクリック・ボルタンメトリーの原理証明研究によって、8種類のアミノ酸のフラグメンテーション生成物が電気化学的に分解されている。

Article: 放射性炭素による古代化粧品中の炭酸鉛の絶対年代測定

Absolute dating of lead carbonates in ancient cosmetics by radiocarbon

doi: 10.1038/s42004-018-0034-y

炭酸鉛は、古代から絵の具や化粧品に用いられた歴史的顔料に含まれている。しかし、無機物の放射性炭素年代測定はほとんど行われていない。本論文では、古代エジプトと古代ギリシャの化粧品に含まれる炭酸鉛を基に放射性炭素年代測定が行われ、天然顔料と合成顔料の区別も可能になっている。

Article: 触媒的アルドール反応型C–C結合形成を誘起する銅-スーペルオキシド錯体

Cupric-superoxide complex that induces a catalytic aldol reaction-type C–C bond formation

doi: 10.1038/s42004-019-0115-6

銅(II)-スーペルオキシド錯体は求電子剤として振る舞うことが知られているが、そうした種による求核反応性の例は数少ない。本論文では、単核銅(II)-スーペルオキシド種が単純なアルドール反応を促進することが示され、この反応性が配位子構造の小さな変化に対して敏感であることが見いだされている。

Article: ナノクレイによって調節される金属酸化物の酸素空孔

Nanoclay-modulated oxygen vacancies of metal oxide

doi: 10.1038/s42004-019-0112-9

金属酸化物系触媒材料中の酸素空孔は、触媒性能向上に極めて重要である。本論文では、クレイ(粘土)担持酸化コバルトに水酸基を導入すると酸素空孔導入と触媒活性向上が可能になることが、密度汎関数理論と実験データを用いて示されている。

Article: 自己放出可能なアニオンテンプレートによる中空硫化銀クラスターの触媒的アセンブリー

Catalyzed assembly of hollow silver-sulfide cluster through self-releasable anion template

doi: 10.1038/s42004-018-0102-3

中空ナノ構造体の合理的構築は、形成経路の解明と中間体の観測が難しいため、困難である。本論文では、中空Ag56クラスターの形成が調べられ、触媒的な自己放出型テンプレートの形成機構が特定されている。

Article: 磁気通信の強化に向けた空気中で安定なラジカル配位子を導入した調節可能なランタニドキュバン・プラットフォーム

A tunable lanthanide cubane platform incorporating air-stable radical ligands for enhanced magnetic communication

doi: 10.1038/s42004-018-0090-3

ランタニドキュバンは、磁性分子の設計に興味深いモチーフであるが、概してイオン間の磁気交換が弱い。本論文では、空気中で安定なラジカル配位子を導入したランタニドキュバンの合成、続いて分子内磁気結合の増強が報告されている。

Article: アルカリ原子様の5族金属内包Si16ケージナノクラスター超原子の酸化的反応性

Oxidative reactivity of alkali-like superatoms of group 5 metal-encapsulating Si16 cage nanoclusters

doi: 10.1038/s42004-018-0052-9

5族元素を内包したシリコンケージは「超原子」挙動を示すと提唱されているが、この説は定量的に研究されていなかった。本論文では、一連の5族金属内包M@Si16ケージの酸化カイネティクスが周期表に見られる傾向と似た周期的傾向を示すことが明らかになっている。

Article: 電極触媒的水素発生の促進に向けた空気中で安定なリンドープ窒化モリブデン

Air-stable phosphorus-doped molybdenum nitride for enhanced elctrocatalytic hydrogen evolution

doi: 10.1038/s42004-018-0097-9

モリブデン系電極触媒は、水分解触媒として広く研究されているが、表面酸化のせいで効率が低い。本論文では、空気中での安定性と高い水素発生活性を示す窒化モリブデンが合成されたことが報告されている。

Article: シンクロトロンX線によるMOF被覆パラジウムナノキューブにおける水素貯蔵の電子的起源

Electronic origin of hydrogen storage in MOF-covered palladium nanocubes investigated by synchrotron X-rays

doi: 10.1038/s42004-018-0058-3

遷移金属ナノ粒子とMOFのハイブリッド材料系は有望な水素貯蔵特性を示すが、その界面相互作用の性質はまだよくわかっていない。本論文では、計算手法と分光法を用いて、パラジウムナノキューブ-MOF系における電子構造と電荷移動過程が調べられている。

Article: バイオ由来促進剤を用いた触媒の表面における二酸化炭素から直鎖α-オレフィンへの直接変換

Directly converting carbon dioxide to linear α-olefins on bio-promoted catalysts

doi: 10.1038/s42004-018-0012-4

二酸化炭素を有用な汎用化学品に変換することは、人為的排出ガスを活用する有望なアプローチである。本研究では、カーボンに担持させた鉄とバイオマス由来のアルカリ促進剤を併用して、直接二酸化炭素を重質の直鎖末端オレフィンに変換している。

Article: 擬似容量性ナトリウムイオン貯蔵の増大のためのコバルトドープ二硫化スズ/還元型酸化グラフェンナノコンポジット

Cobalt doping of tin disulfide/reduced graphene oxide nanocomposites for enhanced pseudocapacitive sodium-ion storage

doi: 10.1038/s42004-018-0086-z

充電式ナトリウムイオン電池は、リチウム技術に代わる有望な代替技術であるが、リチウム系よりも高性能負極材料が少ない。本論文では、コバルトドープ二硫化スズ/還元型酸化グラフェンナノコンポジットが作製され、ナトリウムの高速化とレート性能の向上が実証されている。

Article: 高性能ナトリウムイオン電池に向けたエーテル系電解液中のタンポポ型硫化マンガン

Dandelion-shaped manganese sulfide in ether-based electrolyte for enhanced performance sodium-ion batteries

doi: 10.1038/s42004-018-0084-1

金属硫化物材料は電気伝導度が低いため、ナトリウムイオン電池への応用が制限される。本論文では、5.0 A g−1の電流密度で1000サイクル以上にわたって340 mAh g−1の容量を維持するナトリウムイオン電池の硫化マンガン負極が報告されている。

Article: ハイブリッドキャパシターの負極材料としての高電気伝導度のインターカレーション金属有機構造体

Intercalated metal–organic frameworks with high electronic conductivity as negative electrode materials for hybrid capacitors

doi: 10.1038/s42004-018-0064-5

インターカレーション金属有機構造体は、スーパーキャパシターとしての可能性が見込まれている。本論文では、実験的手法と計算的手法を用いて4,4′-ビフェニルジカルボン酸二リチウムの性能が調べられ、この材料の電子伝導度とリチウムイオン伝導度が高い理由について知見が得られている。

Article: 安定な高容量全固体リチウム電池向けの多孔アモルファス・シリコン負極膜

Porous amorphous silicon film anodes for high-capacity and stable all-solid-state lithium batteries

doi: 10.1038/s42004-018-0026-y

シリコンは、高い理論容量を持つため有望な負極材料であるが、充放電サイクル中の体積変化が大きいためサイクル全体にわたって不安定になる可能性がある。本論文では、無機固体電解質と多孔シリコン膜を用いることによって安定性が向上する(100サイクルにわたって99.8%を超える効率が維持される)ことが報告されている。

Article: 高性能ファイバー型スーパーキャパシターとしてのカーボンナノチューブと酸化マンガンのハイブリッドナノ構造体

Carbon nanotubes and manganese oxide hybrid nanostructures as high performance fiber supercapacitors

doi: 10.1038/s42004-018-0017-z

二酸化マンガンは、エネルギー貯蔵用途に有望な材料であるが、脆いうえ伝導度が低いため性能に限りがある。本論文では、カーボンナノチューブネットワーク上に二酸化マンガンドメインを電気化学的に析出させることで、フレキシブル伝導性ハイブリッドファイバー型スーパーキャパシターが作製されている。

Article: スーパーキャパシター性能向上のための垂直共配向二次元金属有機構造体

Vertically co-oriented two dimensional metal-organic frameworks for packaging enhanced supercapacitive performance

doi: 10.1038/s42004-017-0005-8

金属有機構造体は将来のエネルギー貯蔵材料の候補であるが、低い伝導性と電流コレクター上でのランダムな結晶配向によって性能が制限されている。本論文では、カーボンナノウォールによって支持された均一配向結晶を有する電極を作製することで、電気化学的性能を向上させている。

Article: 天然物に着想を得たレチノイドX受容体調節薬のデノボ設計に関する人工知能のチューニング

Tuning artificial intelligence on the de novo design of natural-product-inspired retinoid X receptor modulators

doi: 10.1038/s42004-018-0068-1

人工知能を用いて医薬品化学に取り組む方法がますます強力になっているが、生物活性分子の予測には苦戦している。本論文では、機械学習モデルによって、合成的に実現可能な天然物模倣体が生成され、この物質がレチノイドX受容体に対して生物活性を持つことが示されている。

Article: 鉄触媒を用いるアンモニア合成のモデルに由来する理論的触媒反応の精度

Accuracy of theoretical catalysis from a model of iron-catalyzed ammonia synthesis

doi: 10.1038/s42004-018-0063-6

DFTは触媒プロセスの研究に広く用いられているが、その精度が議論の的になっている。本論文では、鉄触媒を用いるアンモニア合成の単純なモデルが実験データや高度な量子力学的データに対して評価され、DFTの結果が大きくばらついていることが示されている。

Article: 高精度で分子伝導を計算するための電流制約密度行列理論

Current-constrained density-matrix theory to calculate molecular conductivity with increased accuracy

doi: 10.1038/s42004-018-0030-2

分子伝導は、分子を通る電子の量子流であり、これまでの理論的手法では概して過大に予測されている。本論文では、電流制約電子構造に基づく方法によって、既存のコンダクタンス計算手法が最高で2桁改善されることが報告されている。

Article: 16個の価電子を持つオスミウムを導入したペンタレンのS0およびT1状態における適応的芳香族性

Adaptive aromaticity in S0 and T1 states of pentalene incorporating 16 valence electron osmium

doi: 10.1038/s42004-018-0018-y

ヒュッケル則とベアード則によると、一重項基底状態で芳香族性の化合物は最低三重項状態で反芳香族性であり、その逆も成り立つ。本論文では、オスマペンタレンは一重項基底状態でも最低三重項状態でも芳香族性であることを示すDFT計算結果が報告されている。

Article: グランドカノニカルモンテカルロ法によるブロモドメイン結合ポケットにおける水の安定性の大規模解析

Large-scale analysis of water stability in bromodomain binding pockets with grand canonical Monte Carlo

doi: 10.1038/s42004-018-0019-x

タンパク質から水分子を移動させることによってリガンドの親和性や選択性が向上する可能性があるが、個々の水の結合エネルギーを測定することは困難である。本論文では、結合自由エネルギーの計算結果を用いて、35個のブロモドメインに保存されている水の安定性を推定し、移動しやすさを予測している。

Article: 脱水素反応の障壁を推定する一般的方法

Generic approach to access barriers in dehydrogenation reactions

doi: 10.1038/s42004-017-0001-z

遷移状態のエネルギー相関は、コンピューターによる新触媒探索のカギであるが、計算コストが高くつく。本論文では、結合次数保存則に基づく最近のアプローチを一般化し、低指数金属表面上での脱水素反応に適用している。

Article: 生体適合条件下におけるフェノールによるα-アミノ酸および小ペプチドの触媒的N-修飾

Catalytic N-modification of α-amino acids and small peptides with phenol under bio-compatible conditions

doi: 10.1038/s42004-018-0042-y

フェノールとシクロヘキセノンは、パラジウム触媒による制御された水素化または酸化によって相互変換可能であり、アミンのN官能基化を可能にする。本論文では、この反応がアミノ酸や小ペプチドに適用され、さまざまな反応困難な基質がシクロヘキセノンを用いてN-アリール化、フェノールを用いてN-アルキル化されている。

Article: 直鎖状および環状ポリペプチドの簡便な合成方法

Straightforward access to linear and cyclic polypeptides

doi: 10.1038/s42004-018-0040-0

アミノ酸N-カルボキシ無水物の開環重合は、確立されたポリペプチド合成方法であるが、生成物分布の制御には慎重な最適化を要することがある。本論文では、単に開始剤の選択を変えるだけで、温和な条件下で直鎖状または環状ポリペプチドを合成する一般的な方法が得られている。

Article: N, N-補助架橋によるジスルフィドリッチなヘテロ二量体ペプチドの合成

Synthesis of disulfide-rich heterodimeric peptides through an auxiliary N, N-crosslink

doi: 10.1038/s42004-018-0036-9

インスリンや関連ヘテロ二量体ペプチドは難しい合成ターゲットであり、通常、NとCをつなぐバイオミメティック化学リンカーを用いて合成されるが、このリンカーを外すのに2ステップを要する。本論文では、NとNをつなぐ対称性リンカーを用いて高い効率で異なる6つのペプチドが得られており、1化学ステップでリンカーが除去されている。

Article: ナイトレン等価体としてのスルホキシイミンとルテニウム触媒を用いるα,ω-ジインの窒素移動型[2 + 2 + 1]付加環化によるピロールの合成

Synthesis of pyrroles via ruthenium-catalyzed nitrogen-transfer [2 + 2 + 1] cycloaddition of α,ω-diynes using sulfoximines as nitrene surrogates

doi: 10.1038/s42004-018-0022-2

ナイトレン移動を伴う付加環化は、有用置換ピロールを合成する便利な手段となる。本論文では、通常とは異なる窒素移動試薬としてのスルホキシイミンとルテニウム触媒を用いるジインの[2+2+1]付加環化が報告されている。

Article: アミノ酸とそのフラグメントの電気化学的気相分析

Gas phase electrochemical analysis of amino acids and their fragments

doi: 10.1038/s42004-018-0046-7

電気化学的分析は、化学反応機構を深く理解する機会をもたらす可能性があるが、通常、液相中または固相中で行われる。本論文では、気相サイクリック・ボルタンメトリーの原理証明研究によって、8種類のアミノ酸のフラグメンテーション生成物が電気化学的に分解されている。

Article: 光学的にトラップされたエアロゾル粒子のデジタルホログラフィー

Digital holography of optically-trapped aerosol particles

doi: 10.1038/s42004-018-0047-6

大気中のエアロゾル粒子のサイズと形態に関する動的情報を得ることは、概して困難である。本論文では、光学トラップによって空間的に閉じ込められた空中非担持エアロゾル粒子のホログラフィックイメージングが導入され、複数の時間スケールにわたって非接触観察が可能になっている。

Article: 二元機能性ハロゲン化物融液中における中空シリコン微小球形成に関する塩によって促進される還元機構を明らかにする

Revealing salt-expedited reduction mechanism for hollow silicon microsphere formation in bi-functional halide melts

doi: 10.1038/s42004-018-0041-z

溶融塩によるシリカの熱化学的還元によって、有望な微細構造シリカエネルギー材料が生成することが知られている。本論文では、実験による研究とコンピューターによる研究を組み合わせることによって、溶融塩化アルミニウムによるシリカの低温熱化学的還元に関する機構が提案されている。

Article: 生物起源のエアロゾル形成に重要な階層的分子相互作用の直接観測

Direct observation of hierarchic molecular interactions critical to biogenic aerosol formation

doi: 10.1038/s42004-018-0038-7

エアロゾル形成の初期段階を調べることは、物理化学や環境化学における課題となっている。本論文では、光電子分光法、量子化学計算、分子ダイナミクスのシミュレーションによって、特定の官能基相互作用が硫酸水素アニオンと有機分子のクラスターを安定化させる機構が定量的に示されている。

Article: 高精度で分子伝導を計算するための電流制約密度行列理論

Current-constrained density-matrix theory to calculate molecular conductivity with increased accuracy

doi: 10.1038/s42004-018-0030-2

分子伝導は、分子を通る電子の量子流であり、これまでの理論的方法では概して過大に予測されている。本論文では、電流制約電子構造に基づく方法によって、既存のコンダクタンス計算手法が最高で2桁改善されることが報告されている。

Article: ヒドロゲル由来マトリックス中に封入した吸湿性の塩を用いる空気中からの水の収集

Water harvesting from air with a hygroscopic salt in a hydrogel–derived matrix

doi: 10.1038/s42004-018-0028-9

空気中からの水の収集は、辺境乾燥地域において淡水供給を確保する有望な方法である。本論文では、塩化カルシウムをアルギン酸由来のビーズに封入した複合材料が報告されており、この材料が1立方メートル当たり660 kgの水を空気中から可逆的に吸収することが示されている。

Article: 金属有機構造体に閉じ込められた有機発光体における外部ガスによる三重項ダイナミクスの可逆的制御

Reversible control of triplet dynamics in metal-organic framework-entrapped organic emitters via external gases

doi: 10.1038/s42004-018-0027-x

フォトルミネッセンスには重要な用途があるが、有機分子によって室温りん光を増強することは困難である。本研究では、外部トリガーとして重原子ガスを用いて、金属有機構造体中に固定した発光体の室温りん光を可逆的に増強している。

Article: 固体NMR分光法によるゼオライト中のスズサイトとその可逆的相互変換の直接観測

Direct observation of tin sites and their reversible interconversion in zeolites by solid-state NMR spectroscopy

doi: 10.1038/s42004-018-0023-1

金属置換ゼオライト触媒の活性サイトを特定することは、異なる金属サイトが似たような分子環境を有する可能性があるため、難しい場合がある。本研究では、固体NMRを用いて、Sn-βゼオライト中の2つの異なるオープンスズサイトを特定し、オープンサイトとクローズドサイトの間の可逆的変換を検出している。

Article: 調節可能な発光と高効率蛍光センシングのための汎用的な二金属ランタニド金属有機構造体

Versatile bimetallic lanthanide metal-organic frameworks for tunable emission and efficient fluorescence sensing

doi: 10.1038/s42004-018-0016-0

水中の金属イオンや揮発性有機化合物を識別する汎用的な発光プラットフォームを開発することは、困難である。本研究では、二金属ランタニド金属有機構造体を含有する膜が、数秒以内に水中の第二鉄イオンを、数分以内にスチレン蒸気を選択的に認識している。

Article: 高効率ガス分離用のインターカレーション構造膜のin situ生成

In situ generation of intercalated membranes for efficient gas separation

doi: 10.1038/s42004-017-0002-y

酸化グラフェン膜は、低分子量ガスの分離に有望な材料である。本論文では、金属有機構造体と酸化グラフェンからなる複合膜は、酸化グラフェン単独の場合と比較して、水素と二酸化炭素を分離する選択性が優れていることが示されている。

Article: スーパーキャパシター性能を向上させるための垂直共配向二次元金属有機構造体

Vertically co-oriented two dimensional metal-organic frameworks for packaging enhanced supercapacitive performance

doi: 10.1038/s42004-017-0005-8

金属有機構造体は、将来のエネルギー貯蔵材料候補であるが、低い伝導性と電流コレクター上でのランダムな結晶配向による制約がある。本研究では、カーボンナノウォールに支持された均一配向結晶を取り入れた電極を作製することによって、電気化学的性能が向上している。

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