2026年1月号Volume 23 Number 1
最良の睡眠のための科学ガイド
「たくさん寝たはずなのに疲れが取れない」のは、なぜだろうか。原因は睡眠時間そのものよりも、光の浴び方や食事のタイミングなど、日常のリズムに潜んでいるのかもしれない。概日リズムの基礎研究から、質の高い睡眠のための実践的な助言が得られ始めている。科学が教える「快眠の三原則」とは。
Editorial
Research Highlights
リサーチハイライト
「本物の腺のようにホルモンを分泌する『培養の腺』」「急増する炭素がアマゾンの高木の成長を加速させる」「カメムシの耳と思われていた器官の正体は秘密兵器」「大気汚染物質に含まれる細菌の内毒素は非常に有害」、他。
News in Focus
脳内の古い免疫細胞の置換が疾患の治療に有効かもしれない
ミクログリアと呼ばれる免疫細胞を置換する手法が、アルツハイマー病などの脳疾患の治療法として有望視されている。
危機的状況にあるグローバルヘルス — 解決に乗り出すのは誰か
米国と欧州諸国の保健医療援助が数十億ドルも削減された。不足分の補塡は誰にできるのだろうか。
AIによるウイルス設計はAIによる生命創出への一歩
科学者が人工知能を用いてゲノムを設計して作製したバクテリオファージが、抗生物質に耐性を持つ細菌を死滅させる。
欧州の研究助成金を巡る競争が激化
2025年、欧州の各種研究助成金への申請件数は増加した。科学者らは、研究助成金を巡る競争が激しさを増したことを肌で感じているという。
「DNA版Google検索」が生物学のビッグデータ活用に道を開く
MetaGraphは、膨大なデータアーカイブを圧縮・統合した、研究者向けの検索エンジンである。
ハンチントン病に対する初の遺伝子治療
小規模な臨床試験で、この脳疾患の進行を遅らせられるという証拠が得られた。
AIボットが全論文を執筆・査読した学術会議が開催された
学術会議Agents4Science 2025では、AIモデルが生成した査読報告書のレベルが、人間が書いた査読報告書にどこまで近づいているかが評価された。
AIチャットボットは精神病を引き起こすのか? 科学が示す真実
チャットボットは妄想的信念を増長する場合があり、まれではあるが、ユーザーが精神病エピソードを経験することも報告されている。
査読者は自分の論文を引用する論文の採択を推奨しがち
査読者が引用を求める論文を引用するか否かが論文の採択の判断に及ぼす影響を検証するプレプリント論文が公開された。
Features
生殖のルールを書き換える
実験室で培養された卵子と精子がいつの日か不妊治療に革命をもたらすかもしれない。しかし、マウスで有望な結果が得られても、ヒトに応用するのは難しい。
AIは学生を賢くするか、それとも考えなくさせるのか
世界中の大学に通う数百万人の学生が人工知能を使っている現状への懸念は尽きない。
細胞壁は活発にコミュニケーションする
研究者は、植物細胞壁が話す言葉を解読して、より優れた作物を作り出そうとしている。
科学でより良い睡眠を
概日リズムの基礎研究から、質の高い睡眠のための実践的な助言が得られ始めている。
News & Views
AIに仕事を任せると不正が増える
人工知能は単なるツールから意思決定に積極的に関与するパートナーへと進化しつつあるが、不正行為を機械に肩代わりさせた場合、誰が責任を負うことになるのか?
量子もつれは量子重力の証拠になるか?
重力が量子的であるかどうかをテストする方法として、量子もつれ実験が提案されてきた。しかし、決定的な証拠を得ることは、これまで考えられていたよりも難しいかもしれない。
切り紙に着想を得たパラシュート
円形のプラスチックシートに閉ループパターンの切り込みを入れると、小さな積み荷を運べるパラシュートへと変形させられることが実証された。この技術は、人道支援物資の投下などに応用できる可能性がある。
異なる2種の雄を生む女王アリ
イベリア収穫アリは、近くに別種のアリ集団が存在しないのに、不思議なことに働きアリは雑種である。このほど、このアリが今までに例のない生殖システムを持つことが発見され、長年の謎が解明された。
Advances
タコの錯覚
タコも人間と同様に「ラバーハンド錯覚」に陥る。
人が人を観察する訳
他人を観察する行動には深い進化的な根っこがあるらしい。
Where I Work
Ludovica Alesse
Ludovica Alesseは、ポンペイ考古学公園(イタリア)の保存修復士。
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