Research Highlights

酸素混入:従来の反応モデルを超えて

Nature Nanotechnology 2018, 1018 doi: 10.1038/s41565-018-0286-9

表面の原子配列が、酸素還元反応や酸素生成反応の反応性に影響を及ぼし得ることは広く知られている。しかし、反応条件下で表面の原子構造を正確に制御し調べる方法がないため、酸素交換機構が表面の原子構造の影響をどのように受けるかはまだよく分かっていない。今回ウィーン工科大学のDieboldとマサチューセッツ工科大学のYildizたちは、この課題を乗り越え、表面の原子構造が、ペロブスカイト表面への酸素混入を決める支配的な要因であることを実証している。

著者たちは、表面相の対称性が(4 × 1)および(2 × 5)の、Nbを0.5重量%ドープしたSrTiO3(110)面を作製した。この2つの表面構造は、安定で、酸素雰囲気で処理された際にSrの偏析が見られないことが実証されている。次に、この2つの再構成表面における18O標識酸素交換速度を450°Cで測定した。その結果、(4 × 1)表面相の反応性は、(2 × 5)表面相の3倍であることが分かった。この反応の加速は、密度汎関数理論計算における従来の空孔モデル、仕事関数モデル、バンド湾曲モデルでは解釈できない。そうではなく、酸素の吸着と解離を決めているのは原子構造であり、多面体の柔軟性が高くなるほど酸素混入が速くなるのである。

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