Brief Communication 父親になると脳の構造が変わる 2003年9月1日 Nature Medicine 9, 9 doi: 10.1038/nn1753 マーモセットの雄は、父親になるとそうでない個体に比べ前頭前野と呼ばれる領域の脳構造とホルモン受容体に変化が見られることがNature Neuroscience誌9月号で報告されている。 雄のマーモセットは、子供が生後3か月になるまでの半分以上の期間、赤ん坊を抱きながら親としてさまざまな世話をする。Elizabeth Gouldらは、初めてでも経験豊富でも父親となったマーモセットが、同じように配偶者とつがいで暮らしているが父親でない個体より、前頭前野にある神経細胞の樹状突起のとげ状構造(スパイン:脳細胞間結合の主要部位)の密度が高いことを発見した。さらに父親では、親としての行動にかかわる神経ペプチドのバソプレッシンに特異的な受容体がいっそう多かった。この受容体の発現は幼い赤ん坊をもつ父親ほど高いことから、この変化が子供との接触に起因する可能性が示唆される。 父性は脳の構造変化をもたらすことがこれらの発見から証明されたが、機能面での結果を正確に決定するにはさらなる研究が必要である。 Full text PDF 目次へ戻る