失読症の子供は単語を構成している音素の処理に苦労するが、この問題の根本的な原因には議論の余地がある。失読症の子供はそうでない子供より、視覚信号をノイズ(背景雑音)の中から見分けるのが非常に下手だという報告がNature Neuroscience誌7月号にある。これは失読の原因の説明となるかもしれない。
Anne Sperlingは失読症とそうでない子供に、テレビ画面上で静止しているように見える視覚的“ノイズ”に埋め込まれたある模様を見つけてもらった。失読症でない子供に比べ、失読症の子供は模様を明るくしないと見分けられなかった。この分野では、失読症患者における視覚処理障害は巨大細胞経路として知られる視覚ニューロン群の欠陥が原因だという見解が一般的だが、この発見はこの見解と矛盾する。そこでSperlingらはノイズの影響を経路の影響と切り離し、ノイズ除去の欠陥でこれまでの知見を説明できると結論している。
ノイズ除去に問題があると読み方の学習がどう妨げられるのだろうか。Sperlingらは文字の認識を妨げるのかもしれないし、あるいはノイズから信号を識別する問題が(聴覚系を含めて)他の感覚に及んでいるのかもしれないと示唆している。