Brief Communication

人種に関連する脳の活動

Nature Medicine 8, 6 doi: 10.1038/nn1465

脅威的あるいは非常に刺激的な目新しい画像を見ると、脳の情動処理に関係する扁桃体という領域が活動する。少なくとも白人系アメリカ人の場合、白人系アメリカ人の顔写真よりもアフリカ系アメリカ人の顔写真のほうが扁桃体を強く活性化することが知られるが、その理由については論争が続いている。Nature Neuroscience誌6月号の論文によると、アフリカ系アメリカ人も同様の種特異的な扁桃体の活動パターンを示すので、この脳の活動は学習を通じた人種に対する文化的応答に起因する可能性が示唆されている。
どちらの人種の被験者でも、情動と動機づけにかかわる脳の領域は、白人系アメリカ人の顔よりアフリカ系アメリカ人の顔に対し強く反応した。アフリカ系アメリカ人の被験者はおそらく日常生活において同じ人種の顔にたくさん接している。そのためアフリカ系アメリカ人の顔に対する扁桃体の活動は、目新しさよりも人種に対する文化的連想の学習を反映しているのかもしれないと著者らは結論づけている。口頭でアフリカ系アメリカ人の顔であると説明すると、扁桃体の活動はどちらの被験者集団でも減少したので、人種を言葉で表すと情動的影響が低減する可能性がある。

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