Brief Communication

森を見るか木を見るか

Nature Medicine 8, 3 doi: 10.1038/nn1400

左利きの人と右利きの人では脳の構築が異なり、この2つのグループでは、言語や空間の認知のような機能に使う脳領域が反対になっている。左利きの人と右利きの人では、視覚刺激の全体を見るときと部分を見るときとでも使う脳の部分が異なることがNature Neuroscience誌3月号の論文で報告されている。

われわれは多くの場合、絵や写真を見たときに細部と全体のようすのどちらに焦点を合わせるか(たとえば「木」か「森」か)を選択しなければならない。著者らは経頭蓋的磁気刺激(TMS:一時的に脳の活性を中断する技術)を用いて、右利きの人と左利きの人では、そのような作業の際に脳の反対側を使うことを示した。被験者に視覚刺激の細部に集中させておき、脳の後部で左頭頂葉または右頭頂葉からTMSを試みた。左頭頂葉を経た活性中断は右利きの人に対し大きく作用したのに対し、左利きの人は、右側の同じ部位を経て活性が中断された場合に、影響が大きかった。これらの結果は、右利きの人と左利きの人では比較的低い段階の情報処理でさえも脳の使い方が異なることを示している。

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