Brief Communication
老化と記憶
Nature Medicine 8, 10 doi: 10.1038/nn1543
老年あるいは若年の被験者に、風景ならば覚えておき顔なら無視する(あるいはその逆)ように指示を与えておき、それらを見ているときの脳をMRIで走査した。場面を覚えておく指示では、若年、老年どちらの被験者も、左半球海馬傍回/舌状回の活動が増した。この部分は通常、風景の処理を行う脳内領域である。風景を無視して顔を覚えておく指示では、若年被験者では同じ領域の活性が減少した。老年被験者にはそのような活性減少が見られず、課題に必要のない情報の抑制不足が示唆された。また老年被験者は前に見た画像を思い出すのも苦手であった。課題をうまくこなせる老年被験者もおり、彼らの脳の活動は風景を無視するときは風景処理領域の活動が減るという点で若年被験者のものに似ていた。