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医用画像AI支援:AI支援が放射線科医へ及ぼす効果の不均一性と予測因子

Nature Medicine 30, 3 doi: 10.1038/s41591-024-02850-w

医用画像解釈に人工知能(AI)を組み入れるには、臨床医とAIアルゴリズムの間での効率的な共同作業が必要となる。これまでの研究で、AI支援が臨床医の全体的なパフォーマンスを向上させる可能性が示されたが、臨床医に及ぼす個々の影響については明らかされていない。今回の大規模研究では、15の胸部X線診断課題の中で、140人の放射線科医に対してAI支援が及ぼす効果の不均一性について調べ、これらの効果の予測因子を明らかにした。驚くべきことに、経験年数やサブスペシャリティー、AIツールへの精通度など、従来の経験に基づく諸因子では、信頼性を持ってAI支援の効果を予測することができないことが分かった。加えて、診断能力の低い放射線科医ほどAI支援で得られる恩恵が一貫して大きいわけではなく、これは一般的な想定と異なっている。さらに、AIエラーの発生は治療転帰に強く影響し、不正確なAI予測が、調査された全病態の総合についてと、個々の病態に対しては半数について、放射線医の診断成績に悪い影響を与えることが分かった。我々の知見によって、臨床医とAIの共同作業に対する個別化アプローチの重要性と、正確なAIモデルの重要性が明らかとなった。本研究は、AI支援の有効性に影響する因子を理解することによって、対象を絞ったAIの導入に関する貴重な知見を提供し、臨床現場における個々の臨床医にとって利益を最大化することを可能にする。

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