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小児がん:小児がんサバイバーにおける多遺伝子リスクスコア、放射線治療による被曝、二次がんリスク

Nature Medicine 30, 3 doi: 10.1038/s41591-024-02837-7

小児がんのサバイバーでは、放射線治療や他の治療への曝露による遅発効果のため二次がんのリスクが上昇する。従って、リスクに対する遺伝的素因の影響についての理解を深める必要がある。本研究では、CCSS(Childhood Cancer Survivor Study)とSJLIFE(St Jude Lifetime Cohort)の小児がんの5年以上のサバイバー1万1220人についての遺伝子型データを統合して用いた。このデータを、一般集団のゲノムワイド関連解析のがん座位から導かれたがん特異的な多遺伝子リスクスコア(PRS)を用いて解析すると、ヨーロッパ系のサバイバーでは二次がんリスクが上昇していることが明らかになった。二次がんリスクの上昇は、基底細胞がん(PRSの標準偏差当たりのオッズ比〔OR〕= 1.37、95%信頼区間〔CI〕= 1.29〜1.46)、女性の乳がん(OR = 1.42、95%CI = 1.27〜1.58)、甲状腺がん(OR = 1.48、95%CI = 1.31〜1.67)、扁平上皮がん(OR = 1.20、95%CI = 1.00〜1.44)、悪性黒色腫(OR = 1.60、95%CI = 1.31〜1.96)であるが、大腸がんとは有意な関連が見られない(OR = 1.19、95%CI = 0.94〜1.52)ことが分かった。PRSに放射線治療を加えた場合の関連研究では、基底細胞がん、乳がん、甲状腺がんで相加的以上に二次がんリスクが上昇した。放射線治療により被曝したサバイバーでは、PRSが高い人はPRSが低い人よりも、50歳までの二次がんの累積発生率が高かった。本知見は、これらのタイプの悪性腫瘍では、一般集団とサバイバーで遺伝的病因がある程度共通していることを示唆しており、これは放射線治療に関連する強いリスクがある状況でも明らかであった。

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