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変形性手関節症:びらん性変形性手関節症を対象としたRANKL阻害 ─ 無作為化プラセボ対照第2a相試験

Nature Medicine 30, 3 doi: 10.1038/s41591-024-02822-0

びらん性変形性手関節症(EHOA)は、よく見られる身体障害性疾患だが、治療の選択肢は限られている。本論文では、単施設での無作為化二重盲検プラセボ対照第2a相臨床試験において、EHOAを対象として、RANKL(receptor activator of nuclear factor-κB ligand)阻害抗体であるデノスマブが構造改良に及ぼす効果を評価した結果を示す。患者は、48週間にわたりデノスマブ60 mgを3カ月ごとに投与する群(n = 51、女性41人)あるいはプラセボ群(n = 49、女性37人)に無作為に割り付けられた。主要評価項目(放射線画像診断)は、24週時点でのゲント大学スコアリングシステム(GUSS)の合計スコアの変化であった(スコアの正の変化はリモデリングに相当し、負の変化はびらん性進行に相当する)。副次評価項目は、48週時点でのGUSSスコアの変化と、解剖学的進行段階スコアシステムによる48週時点での新たなびらん性関節の数であった。対象とする関節のベースライン時の平均GUSSスコア(標準偏差)は、デノスマブ群で155.9(69.3)、プラセボ群で158.7(46.8)であった。主要評価項目は満たされ、24週時点での群間差の推定値は8.9(95%信頼区間〔CI〕1.0~16.9、P = 0.024)であった。この効果は48週時点で確かめられ、ベースライン補正したGUSSスコア(平均値の標準誤差)は、デノスマブ群で163.5(2.9)、プラセボ群で149.2(3.9)であり、群間差の推定値は14.3(95%CI 4.6~24.0、P = 0.003)であった。患者レベルでは、48週時点でプラセボ群の方がデノスマブ群より多くの新たなびらん性関節を生じていた(オッズ比0.24〔95%CI 0.08~0.72〕、P = 0.009)。プラセボ群(患者44人において125件〔90%〕)では、デノスマブ群(患者41人において97件〔80%〕)と比べて、多くの有害事象が起こった。これらの結果は、デノスマブがEHOAにおいて、リモデリングを誘導し、新たなびらん性関節の発生を防ぐことにより、関節構造を改良する効果を持つことを実証している。EU臨床試験登録番号2015-003223-53。

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