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固形腫瘍:固形腫瘍でのOMO-103によるMYCの標的化 ─ 第1相試験

Nature Medicine 30, 3 doi: 10.1038/s41591-024-02805-1

がん治療において「最も待ち望まれている」標的の1つは、がん遺伝子MYCである。MYCは、腫瘍の発生や維持における重要な転写プログラムを調整する役割を担っている。しかし、MYCに対する創薬は不可能と長い間考えられてきた。OMO-103は、91アミノ酸からなるミニタンパク質のMYC阻害剤である。本論文において我々は、進行固形腫瘍におけるOMO-103の第1相試験の結果を示す。この試験は、主要評価項目として安全性と忍容性、また副次評価項目として薬物動態、第2相試験の推奨用量、および活性の予備的兆候を調べるために設定された。標準的な3 + 3の用量漸増デザインを用いて、OMO-103単剤を、6つの用量レベル(DL)について、21日間を1サイクルとして毎週静脈内投与した。合計22人の患者が登録され、固形腫瘍がプログレッションするまで治療が維持された。最もよく見られた有害事象は、グレード1の注入に伴う反応(IRR)であり、10人の患者に生じた。DL5で1人に用量制限毒性が見られた。薬物動態は非線形性を示し、DL5で組織飽和兆候が見られ、血清中の終末相半減期は40時間であった。奏効について評価可能な19人の患者の中で、12人は薬物による抗腫瘍活性の評価のために事前指定した9週の時点に到達し、その中の8人はコンピューター断層撮影によって安定(SD)と判定された。固形腫瘍の奏効評価基準によって安定とされた1人の患者は、最良の奏効として総腫瘍体積の49%の減少を示した。トランスクリプトーム解析は、腫瘍生検において標的の関与を支持した。さらに我々は、薬力学反応や奏効予測のための有望なマーカーとなる可溶性因子を特定した。これらの全データに基づいて、第2相試験の推奨用量はDL5(6.48 mg kg−1)と決定した。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT04808362。

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