Brief Communication

デング熱:小児集団におけるデングウイルスの初回感染および2回目感染の両方に重症例が存在する

Nature Medicine 30, 3 doi: 10.1038/s41591-024-02798-x

デング熱は、世界的に流行(エピデミック)しており、年間1億以上の症例が引き起こされている。臨床症状は、軽症の発熱から重症の出血やショックまで幅広く、死亡例もある。現在のパラダイムでは、デング熱のこうした重症例は、大部分が2回目感染時に起こり、異なる血清型のデングウイルス感染後の抗体依存性増強のためであるとされる。インドは世界的にデング熱の疾病負荷が最も高いが、デング熱の重症度や、重症度と初回感染および2回目感染との関連性についてはほとんど分かっていない。この問題に取り組むため、我々はインドの異なる地域に存在する3つの病院でデング熱と確定診断された619人の小児を調査した。我々は、世界保健機関のガイドラインに従って、デングウイルス特異的な酵素結合免疫吸着測定(ELISA)法を用いたIgM:IgG比に基づいて初回感染と2回目感染を分類した。デング熱の初回感染は、全臨床例(619例中344例)、デング熱重症例(202例中112例)および死亡例(7例中5例)の半数以上を占めていることが明らかとなった。結合抗体データに基づいた分類と一致して、デングウイルス中和抗体価も初回感染が2回目感染より有意に低かった(P ≤ 0.0001)。我々の知見は、デング熱の重症例が主に2回目感染と関連しているという現在広く信じられている考えに疑問を投げ掛けており、デングウイルスに感染していない集団を予防するワクチンや医療対策を開発することの重要性を強調している。

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