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肝細胞がん:切除後の高リスク肝細胞がんにおけるシンチリマブによるアジュバント療法 ― 無作為化対照第2相試験

Nature Medicine 30, 3 doi: 10.1038/s41591-023-02786-7

肝細胞がん(HCC)は、特に微小血管浸潤(MVI)を伴う場合に、肝切除後の再発リスクが著しく高い。アジュバント療法としての免疫療法は有望な手段と考えられている。今回、MVIを伴うHCCの肝切除後患者を対象に、多施設非盲検無作為化対照第2相試験を中国の6つの病院で実施し、PD-1(programmed cell death protein 1)阻害剤であるシンチリマブによるアジュバント療法の有効性と安全性を評価した。MVIを伴うHCCで肝切除を行った適格患者が、シンチリマブ投与群または積極的サーベイランス群に無作為に割り付けられた(1:1)。シンチリマブ群は、3週間ごとの静脈内注射が合計8サイクル行われた。主要評価項目は、治療企図(ITT:intention-to-treat)集団における無再発生存期間(RFS)とした。主要副次評価項目は、全生存期間(OS)と安全性とした。2020年9月1日から2022年4月23日にかけて、合計198人の適格患者が、シンチリマブによるアジュバント療法を受ける群(n = 99)または積極的サーベイランスの群(n = 99)に無作為に割り付けられた。本試験は、追跡期間の中央値が23.3カ月で、事前に指定した評価項目を達成した。シンチリマブ群では、積極的サーベイランス群と比べて、RFSの有意な延長が認められた(RFSの中央値27.7カ月に対して15.5カ月、ハザード比0.534、95%信頼区間0.360〜0.792、P = 0.002)。OSにおける差異を確認するには、追加のフォローアップが必要である。シンチリマブ群では、12.4%の患者でグレード3または4の治療に関連した有害事象が認められ、最もよく見られたのはアラニンアミノトランスフェラーゼ値の上昇(5.2%)と貧血(4.1%)だった。これらの知見は、こういった高リスク患者に対する効果的なアジュバント療法としての、免疫チェックポイント阻害剤の可能性を裏付けるものである。中国臨床試験登録番号:ChiCTR2000037655。

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