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消化器がん:胃腺がんおよび食道胃接合部腺がんにおけるアテゾリズマブと化学療法を併用したネオアジュバント療法 ─ 第2相PANDA試験

Nature Medicine 30, 2 doi: 10.1038/s41591-023-02758-x

胃および食道胃接合部(G/GEJ)のがんは予後不良であり、近年改善はあるものの、大部分の患者は本疾患で死亡する。免疫チェックポイント阻害剤は、転移性G/GEJがん患者の標準治療の一部となったが、早期病態の腫瘍微小環境(TME)に対する有効性や影響は、ほとんど明らかにされていない。我々は、非転移性G/GEJがん患者では、免疫療法と化学療法を併用したネオアジュバント療法の有効性がより大きいのではないかと考えた。第2相PANDA試験では、治療歴のない切除可能なG/GEJ腫瘍の患者(n = 21)において、アテゾリズマブ単剤療法を1サイクル行った後に、アテゾリズマブに加えてドセタキセル、オキサリプラチン、カペシタビンの併用を4サイクル行うネオアジュバント療法が行われた。治療は十分な忍容性があった。患者20人中2人(10%)でグレード3の免疫関連有害事象があったが、グレード4あるいは5の免疫関連有害事象はなく、また全ての患者で治療関連の遅延なく切除が行われ、主要評価項目である安全性と実行可能性を満たした。複数の時点で組織を入手することで、抗PD-L1(programmed cell death ligand 1)単剤とその後の化学療法との併用がTMEに及ぼす効果についての解析が可能となった。患者21人中20人は手術を受け、副次評価項目である病理学的奏効や生存期間について評価可能であり、19人は探索的トランスレーショナル解析について評価可能であった。病理学的著効(残存生存腫瘍10%以下)は、患者20人中14人(70%、95%信頼区間46~88%)で観察され、そのうちの9人は病理学的完全奏効(45%、95%信頼区間23~68%)であった。追跡期間の中央値である47カ月目の時点で、応答者14人中の13人は無病で生存し、また非応答者6人中の5人は再発の結果、死亡した。特に、ベースラインのPD-1(programmed cell death protein 1)+CD8+T細胞浸潤は非応答者と比べて応答者で顕著に高く、また抗PD-L1単剤療法後とその後に化学療法を併用した後でTMEの変化を比較すると、単剤PD-1/L1軸の阻害時に免疫活性化の増強が見られた。これらのデータに基づいて、化学療法を併用する前の抗PD-L1単剤療法は、非転移性G/GEJがん患者のより大規模なコホートにおける、さらなる調査と検証の必要性を示している。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT03448835。

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