Article

COVID-19:二価および一価のSARS-CoV-2変異株ワクチンの比較 ─ 第2相無作為化非盲検COVAIL試験

Nature Medicine 29, 9 doi: 10.1038/s41591-023-02503-4

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染に対するワクチン防御は、時間がたつと減衰し、最新のブースターが必要となる。米国の22カ所でステージごとに順次登録された第2相非盲検無作為化臨床試験において、我々は、野生型、ベータ株、デルタ株、オミクロン株BA.1系統のスパイク抗原を標的としたmRNAやタンパク質ベースのプラットフォームの一価あるいは二価の変異株ワクチンを用いた2回目ブースター接種の安全性と免疫原性を評価した。主要評価項目は、さまざまなSARS-CoV-2株に対する50%阻害希釈倍率でのシュードウイルス中和抗体価(ID50力価)と95%信頼区間であった。副次評価項目は、solicited(非自発的な)局所性および全身性の有害事象(AE)、自発的なAE、重篤なAEおよび特に注目すべきAEによる安全性の評価であった。従来株/野生型ワクチンでのブーストは、いずれの変異株含有ワクチンよりも、全ての変異株に対するID50力価が数値的に低かった。逆に、従来株を除いた変異株ワクチンを用いたブーストでは、D614Gに対する中和の低下は見られなかった。オミクロン株BA.1系統やベータ株に対する一価ワクチンは、ベータ株、オミクロン株BA.1系統、オミクロン株BA.4/5系統の中和については、オミクロン株BA.1系統+従来株の二価ワクチンやベータ株+従来株の二価ワクチンとほぼ同等であったが、同時期に発生したオミクロン派生株に対する中和は、これらの系統に対する中和より低かった。安全性は、群やステージの間で類似しており、これまでの報告と同等であった。我々の研究は、ベータ株やオミクロン株BA.1系統を標的とする新たなワクチンが、祖先株に対する免疫を損ねることなく、さまざまなSARS-CoV-2変異株に対する広い交差防御性の中和抗体応答をもたらすことを示している。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT05289037。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度