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膵臓がん:疾患の軌跡から膵臓がんのリスクを予測する深層学習アルゴリズム

Nature Medicine 29, 5 doi: 10.1038/s41591-023-02332-5

膵臓がんはアグレッシブながんであり、後期段階で見つかることが多く、転帰不良であるため、早期発見の必要性が特に高い。本論文では、デンマーク(デンマーク国立患者レジストリ:DNPR)の600万人の患者(膵臓がん2万4000症例)、および米国(米国退役軍人省:US-VA)の300万人の患者(膵臓がん3900症例)の臨床データに人工知能手法を適用した。病歴内での国際疾病分類コードの時系列に基づいて複数の機械学習モデルを訓練し、時間経過に沿ったいくつかの時点でのがん発症予測を検証した(CancerRiskNet)。36カ月以内のがん発症について、DNPRにおける最良の予測性能を示したモデルでは、受信者動作特性曲線下面積(AUROC)は0.88であり、また、がん診断前3カ月以内の疾患イベントを訓練データから除外した場合のAUROC(3m)は0.83に低下し、50歳以上の最も高リスク患者1000人の相対リスクは59と推定された。デンマークのモデルをUS-VAのデータに交差適用すると、性能の低下が見られ(AUROC = 0.71)、性能の改善には再訓練が必要であった(AUROC = 0.78、AUROC〔3m〕= 0.76)。これらの結果は、リスクが高い患者のための現実的な監視プログラムを設計する能力を向上させ、このアグレッシブながんの早期発見により、寿命と生活の質に利益をもたらす可能性がある。

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