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移植:腎同種移植の高精度診断のための自動化された組織学的分類システム

Nature Medicine 29, 5 doi: 10.1038/s41591-023-02323-6

30年にわたって、国際Banff分類が腎臓の同種移植拒絶診断のゴールドスタンダードであったが、多様なデータやルールが組み込まれたために、このシステムは次第に複雑になり、患者にとって有害な治療結果をもたらす可能性のある誤分類の原因となっている。我々は診断を改善するために、全ての分類ルールと診断シナリオを網羅したアルゴリズムに基づいて、腎同種移植診断を自動化した意思決定支援システムを開発した。次に我々は、ヨーロッパおよび北米の20の移植紹介センターにおいて経過観察した3054人の患者(男性62.05%と女性37.95%)由来の4409の生検を含む、3つの国際多施設コホートと2つの大規模前向き臨床試験で、成人および小児の腎移植レシピエントに対する拒絶診断が、このシステムを使って再分類できるかを検証した。成人の腎移植集団では、Banff自動化システムによって、抗体関連型拒絶の279例中83例(29.75%)とT細胞関連型拒絶の105例中57例(54.29%)が再分類され、また、病理医によって拒絶なしと診断された生検の3239例中237例(7.32%)が拒絶に再分類された。小児集団での再分類率は、抗体関連型拒絶は26例中8例(30.77%)、T細胞関連型拒絶は39例中12例(30.77%)であった。さらに我々は、Banff自動化システムによる初期診断の再分類は、長期的な同種移植転帰のリスク層別化の改善をもたらすことを見いだした。本研究は、自動組織分類システムが、診断エラーの修正と同種移植拒絶診断の標準化によって移植患者のケアを改善する可能性を実証している。

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