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アルツハイマー病:リーリン-COLBOSヘテロ接合の男性における常染色体性優性(顕性)アルツハイマー病に対する疾病抵抗性

Nature Medicine 29, 5 doi: 10.1038/s41591-023-02318-3

我々は、常染色体性優性(顕性)アルツハイマー病(ADAD)に対する極端な疾病抵抗性が確認された世界の2症例目について特性解析を行った。この男性の症例と、以前に報告されたAPOE3 Christchurch(APOECh)バリアントをホモ接合で持つADAD女性の症例との対照比較を行ったところ、共通の特徴を見いだすことができた。この男性は、PSEN1-E280A変異が存在するにもかかわらず、67歳まで認知機能は健全なままだった。そして、APOECh保有者に見られるように、アミロイド斑沈着は非常に高度であり、嗅内へのタウ凝集体蓄積は限定的であった。この男性は、APOEChバリアントを保有していなかったが、RELNの希少バリアント(H3447R、コロンビア・ボストンバイオマーカー調査研究後にCOLBOSと命名された)をヘテロ接合で保有していた。RELNがコードするタンパク質は、アポリポタンパク質Eと同様に、VLDLr受容体とAPOEr2受容体に結合するリガンドである。RELN-COLBOSは、ノックインマウスにおいて、カノニカルなタンパク質標的であるDab1を活性化し、ヒト型タウのリン酸化を減少させる強力な作用を示す機能獲得バリアントである。ADADの発症から守られたこの症例に見られた遺伝的バリアントは、RELNシグナル伝達が認知症に対する疾病抵抗性に示す役割を示唆するものである。

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