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精神疾患:精神科併存疾患の根底にある共通の神経基盤

Nature Medicine 29, 5 doi: 10.1038/s41591-023-02317-4

最近の研究から、精神疾患に共通する併存疾患の根底には、一般的な精神病理学的因子が存在することが提唱されている。しかし、その神経生物学的機構や一般化可能性は明らかになっていない。本研究では、思春期から若年成人期までの神経画像化の大規模縦断コホート(IMAGEN)において、マルチタスクコネクトームを用いて、外在化障害および内在化障害の症状にまたがる神経精神病理学的(NP)因子を定義した。我々はこのNP因子は、遺伝的に決定された、統一的な前頭前皮質の発達遅延を示しており、さらに実行機能の低下につながる可能性があることを実証する。また、このNP因子は、思春期前から成人期初期までの複数の発達段階で再現性があり、安静状態コネクトームや臨床試料(ADHD-200 SampleおよびStratify Project)に対しても一般化できることが分かった。結論として、我々はメンタルヘルスの複数の障害に含まれる症状の根底にあり、再現性がある一般的な神経基盤を明らかにし、行動、神経画像、遺伝的基質からの多次元的な証拠を橋渡しする。これらの知見は、精神科併存疾患に対する新しい治療的介入の開発に役立つ可能性がある。

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