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感染症:ニルセビマブ投与後の中和活性のあるRSV抗体の持続性と、乳児におけるRSV感染に対する自然な免疫応答の誘導

Nature Medicine 29, 5 doi: 10.1038/s41591-023-02316-5

ニルセビマブは、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)のFタンパク質の融合前コンホメーションに対して特異的な半減期延長型モノクローナル抗体であり、第2b相試験や第3相MELODY試験で早産児や正期産児における研究が行われてきた。我々は、これらの研究で2143人の乳児から採取された血清試料を解析し、RSV特異的免疫グロブリンG抗体や中和抗体(NAb)のベースラインレベル、ニルセビマブ投与後のRSV NAbレベルの持続期間、生後1年間のRSV曝露リスク、そしてニルセビマブ投与後のRSVに対する乳児の適応免疫応答について調べた。ベースラインのRSV抗体レベルは幅広く変動したが、母体からの抗体移行は第3三半期の後期に起こるという報告と一致して、早産児では正期産児よりもベースラインのRSV抗体レベルが低かった。ニルセビマブ投与群のRSV NAbレベルは、31日目でベースラインよりも140倍以上高く、151日目で50倍以上、361日目で7倍以上に維持されていた。RSV Fタンパク質融合後構造に対する抗体応答率が、ニルセビマブ投与群(68〜69%)とプラセボ投与群(63〜70%、統計的有意差なし)で同程度だったことは、ニルセビマブはRSV感染症を防御しながら、活発な免疫応答も可能にすることを示唆している。まとめると、ニルセビマブは乳児の最初のRSV流行期間を通じて、NAbを高レベルに持続してRSV感染症を予防する一方で、RSVに対する免疫応答の発達も可能にする。

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