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老化:多臓器系にわたる不均一な老化、および慢性疾患と死亡率の予測

Nature Medicine 29, 5 doi: 10.1038/s41591-023-02296-6

ヒト臓器系の生物学的老化は、年齢、慢性疾患、生活習慣および遺伝的リスクの相互作用を反映している。本研究では、英国バイオバンクの縦断的な脳画像化と生理学的表現型を使用して、脳の3構造と(脳以外の身体的)臓器系7つの生物学的年齢の標準モデルを構築した。このモデルから、ある臓器の生物学的年齢が他の臓器系の老化に選択的に影響を及ぼすことが明らかになり、この結果から多臓器の老化ネットワークが示された。また、16の慢性疾患の臓器年齢プロファイルを報告する。ここでは生物学的老化の進行が原発性疾患の臓器から複数の臓器系へと拡大していた。身体的臓器系の老化の進行は、さまざまな生活習慣と環境要因、および白血球テロメア長と死亡リスクと関連しており、生存時間(曲線下面積0.77)と若年死亡率(曲線下面積0.86)を予測することが分かった。我々の研究は、健康と慢性疾患において、ヒト老化が多臓器系で関係し合う性質を持っていることを明らかにしており、老化関連疾患の罹患リスクの高い人を早期に特定し、そのような人の臓器特異的な老化を抑制し得る新たな戦略のための有用な情報を提供する。

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