Editorial

認知症研究には世界的な取り組みが必要である

Nature Medicine 29, 2 doi: 10.1038/s41591-023-02249-z

認知症は世界の死因の第7位であり、2050年までに患者数は3倍になると推測されている。低中所得国の認知症患者数は世界の約3分の2を占めており、その数は高所得国よりも急速に増加すると見られる。しかし、低中所得国の人々だけでなく、低中所得国と高所得国の両方に含まれる文化的・民族的・性的な多様性を持つサブ集団についても、修正可能なリスク因子に関するデータはほとんどない。また、女性は全ての年齢層で男性よりも有病率が高く、性差の生物学的な側面が強調されるようになってきたが、臨床試験では性差に関するデータはほとんど得られておらず、アルツハイマー病の臨床試験では女性の参加率は依然として低いままだ。認知症は非常に複雑な疾患である。この疾患の研究にはかなりのギャップが存在しており、その負担が最も大きい地域では特にそれが大きい。このようなギャップを埋めるには、公平な参加や資源の乏しい環境での研究能力開発など、調和の取れた世界規模の研究計画を実施する必要がある。

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