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乳がん:非転移性トリプルネガティブ乳がんでの腫瘍溶解性T-VECによるウイルス療法とネオアジュバント化学療法の併用 ─ 第2相試験

Nature Medicine 29, 2 doi: 10.1038/s41591-023-02210-0

タリモジンラヘルパレプベク(T-VEC)は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)のネオアジュバント化学療法(NAC)に対する反応を増強させると考えられている腫瘍溶解性ウイルスである。本論文では、T-VECとNAC併用の第2相試験(ClinicalTrials.gov ID:NCT02779855)について述べる。ステージ2〜3のTNBCの患者がパクリタキセルとともにT-VECの5回の腫瘍内注射を受け、その後、ドキソルビシンとシクロホスファミドの投与、さらに残存腫瘍量インデックス(RCB)を評価するための手術を受けた。主要評価項目はRCB0の割合であった。副次評価項目はRCB0–1の割合、再発率、毒性、免疫相関であった。37人の患者が評価され、共通したT-VEC毒性は発熱、悪寒、頭痛、疲労感、注射部位の疼痛であった。NACの毒性は予想通りであった。4回の血栓塞栓イベントが起こった。主要評価項目は満たされ、RCB0の割合の推定値は45.9%、またRCB0–1の記述的割合は65%であった。2年無病率は89%となり、RCB0–1の患者では再発は見られなかったが、治療期間中の免疫活性化は反応性と相関していた。TNBCでのT-VECとNACの併用はRCB0–1の割合を増加させる可能性がある。これらの結果は、TNBCに対するT-VECとNACの併用についての継続的な調査を行う裏付けとなる。

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