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非アルコール性脂肪性肝炎:非アルコール性脂肪性肝炎を対象としたトロピフェクサー ─ アダプティブデザイン無作為化プラセボ対照第2a/b相試験

Nature Medicine 29, 2 doi: 10.1038/s41591-022-02200-8

マルチモーダルな活性を有するファルネソイドX受容体(FXR)アゴニストは、非アルコール性脂肪性肝炎に対する治療薬として好ましい選択肢とされている。本論文では、非アルコール性脂肪性肝炎患者を対象とする無作為化多施設二重盲検3パート構成アダプティブデザイン第2相試験で、FXRアゴニストであるトロピフェクサーの安全性と有効性を評価した。パートA+Bでは、198人の患者をトロピフェクサー(10~90 μg)群もしくはプラセボ群に無作為に割り付け、それぞれを12週間投与した。パートCでは、152人の患者をトロピフェクサー140 μg群、トロピフェクサー200 μg群あるいはプラセボ群に無作為に割り付け(1:1:1)、それぞれを48週間投与した。主要評価項目は、試験終了までの安全性と忍容性、および12週の時点でのアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、肝臓脂肪含有量(HFF)に及ぼす用量反応とした。全ての群で最も頻繁に認められた有害事象は掻痒で、トロピフェクサー140 μg群とトロピフェクサー200 μg群でより頻繁に認められた。ALTおよびHFFのベースライン値からの低下は、12週の時点でプラセボ群よりもトロピフェクサー群で大きく、ALTのベースライン値からの変化量の最小二乗平均値は、パートA+Bではプラセボ群(−7.8 Ul−1)に対し、トロピフェクサー群(用量10~90 μg)は−10.7~−16.5 Ul−1の範囲であり、パートCではプラセボ群(−8.3 Ul−1)に対し、トロピフェクサー140 μg群は−18.0 Ul−1、トロピフェクサー200 μg群は−23.0 Ul−1であった。12週の時点の% HFFの変化量は、パートA + Bではプラセボ群(−6.19%)に対し、トロピフェクサー群(用量10~90 μg)は−7.48%~−15.04%であり、パートCではプラセボ群(−10.77%)に対し、トロピフェクサー140 μg群は−19.07%、トロピフェクサー200 μg群は−39.41%であった。ALTとHFFの低下は最大48週まで持続したが、ASTには12週の時点でトロピフェクサーによる同様の傾向が認められなかった。他のFXRアゴニストと同様に、用量に関連した掻痒は頻繁に認められた。Clinicaltrials.gov登録番号:NCT02855164

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