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卵巣機能不全:早発卵巣不全での病原性変異の全体像

Nature Medicine 29, 2 doi: 10.1038/s41591-022-02194-3

早発卵巣不全(POI)は、卵巣機能の早期喪失による女性不妊の主な原因である。POIは不均一な疾患であり、その分子レベルでの病因は分かっていない。我々は、POIに関連付けられる遺伝的バリアントを明らかにするために、1030人のPOI患者からなるコホートで全エキソーム塩基配列解読を行った。既知の59のPOI原因遺伝子で195の病原性、もしくは病原性と見込まれるバリアントが検出され、193の症例(18.7%)が説明された。POIコホートと、POIでない5000人からなる対照コホートを比較した関連解析から、さらに20のPOI関連遺伝子が見つかり、これらは機能喪失バリアントの量が有意に多かった。これら20の新規遺伝子の機能アノテーションから、これらが、生殖細胞形成(LGR4PRDM1)、減数分裂(CPEB1KASH5MCMDC2MEIOSINNUP43RFWD3SHOC1SLX4STRA8)、卵胞形成や排卵(ALOX12BMP6H1-8HMMRHSD17B1MST1RPPM1BZAR1ZP3)などの卵巣の発達や機能に関与していることが示された。まとめると、既知のPOI原因遺伝子や新規のPOI関連遺伝子の病原性、もしくは病原性の可能性のあるバリアントは、242症例(23.5%)に関与していた。さらなる遺伝子型−表現型相関解析から、遺伝的関与は原発性無月経の症例の方が、続発性無月経の症例よりも大きいことが分かった。この研究は、POIの基盤となる遺伝的全体像の解明を進め、診断のための遺伝的スクリーニングの有用性を改善する可能性がある知見を示している。

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