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多発性骨髄腫:全国的なスクリーニングに基づくくすぶり型多発性骨髄腫の罹患率

Nature Medicine 29, 2 doi: 10.1038/s41591-022-02183-6

くすぶり型多発性骨髄腫(SMM)は、多発性骨髄腫の無症候性の前段階である。本論文では、アイスランドの一般住民でのSMMの疫学的な特徴を明らかにする。iStopMM研究(ClinicalTrials.gov ID: NCT03327597)は、多発性骨髄腫の前段階についての全国的なスクリーニング研究で、アイスランドの40歳以上の全ての住民が参加を呼び掛けられた。SMMの定義は、骨髄腫を定義する事象がなく骨髄形質細胞が10〜60%、あるいはモノクローナル(M)タンパク質濃度が3 g dl −1以上、もしくはこれらの条件の両方を満たすものと定義された。参加へのインフォームドコンセントが得られた8万759人のうち、7万5422人(93%)がスクリーニングの対象となった。全人口におけるSMMの罹患率は40歳以上で0.53%(95%信頼区間〔CI〕= 0.49–0.57%)であった。男性と女性でのSMMの罹患率は、各々0.67%(95%CI = 0.62–0.73%)と0.39%(95%CI = 0.35–0.43%)であり、罹患率は男女の両方で年齢とともに上昇した。SMM罹患者193人については、年齢中央値が70歳(年齢範囲44〜92歳)で、60%が男性であった。SMM罹患者の平均Mタンパク質濃度は0.62 g dl−1(濃度範囲0.01〜3.5 g dl−1)で、73%に11〜20%の骨髄形質細胞浸潤が見られた。SMMの高い罹患率は、SMM段階での治療開始を支持する証拠が示すように、多発性骨髄腫の将来的な治療方針に影響がある。

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