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COVID-19:急性期の血液バイオマーカーのプロファイルはCOVID-19入院後6カ月および12カ月での認知障害を予測する

Nature Medicine 29, 10 doi: 10.1038/s41591-023-02525-y

「ブレインフォグ(脳の霧)」などの新型コロナウイルス感染症(COVID)後の認知障害には、客観的要素と主観的要素の両方が含まれており、臨床的に複雑である。これらの症状はよく見られ、かつ消耗性で、仕事能力に影響を与える可能性があるが、その生物学的な基礎については明らかにされていない。今回我々は、COVID-19で入院した成人1837人の前向きコホート研究において、急性期入院時に測定した2つのバイオマーカーのプロファイルが、COVID-19後6カ月および12カ月の時点での認知機能の転帰を予測することを見いだした。1つ目のプロファイルでは、C反応性タンパク質に対するフィブリノーゲンの上昇が、客観的認知障害および主観的認知障害と結び付いた。2つ目のプロファイルでは、C反応性タンパク質に対するDダイマーの上昇が、主観的認知障害と職業的影響に結び付いた。この2つ目のプロファイルは、倦怠感や息切れを介するものだった。どちらのプロファイルでも、うつや不安の有意な介在は見られなかった。2次解析ではロバストな結果が得られ、また、大規模な電子健康記録データセットにおいて再現性とCOVID-19に対する特異性が確認された。これらの知見は、COVID後の認知障害の不均一な生物学特性に関する手掛かりとなる。

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