Perspective

健康科学:シンデミックと臨床科学

Nature Medicine 28, 7 doi: 10.1038/s41591-022-01888-y

シンデミック(syndemic)の理論については、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が始まってから、臨床医学で関心が高まっている。それは、既存の政治的状況、構造的また社会的状態や医療環境とCOVID-19という疾病の間に相乗的な相互作用が生じているからである。シンデミックは、簡単に言えば、共通する促進因子によって特定の状況下で発生し、相乗的に相互作用する複数のエピデミックである。政策立案者が、一部のコミュニティーではCOVID-19による死亡率が他のコミュニティーと比べて高い理由を尋ねたとすると、シンデミックの枠組みに基づいて考えている研究者は、複数の要因が相乗的に連携して働いており、罹患率と死亡率が最も高い集団はこのような相互作用から最も大きな影響を受けているのだと論じるだろう。このパースペクティブでは、具体的な事態を例として用いて、このような考え方を解説する。我々はまた、シンデミックの発生、それに対するエピデミックの相互作用の仕方、またこのような情報をもとに科学者や臨床医、政策立案者に何ができるのかを考察する。

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