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HIV:HIV-1に対する広域中和モノクローナル抗体3種を併用する療法の安全性と抗ウイルス活性 ─ 第1相臨床試験

Nature Medicine 28, 6 doi: 10.1038/s41591-022-01815-1

広域中和抗体(bNAb)を1種あるいは2種用いるHIV-1療法ではウイルスの回避が見られることが示されており、このことはウイルス血症を強力に抑制するには、少なくとも3種のbNAbを使う治療が必要であることを示している。我々は今回、24人のHIV非感染成人でのHIV-1 V2グリカン特異的抗体PGDM1400単独、もしくはV3-グリカン特異的抗体PGT121との併用についての単一施設無作為化二重盲検用量漸増プラセボ対照FIH(first-in-human)試験(第1部)と、HIV陽性で抗レトロウイルス療法(ART)を行っておらず、ウイルス血症が見られる5人の成人(HIV陽性者)に対してPGDM1400、PGT121、それにCD4結合部位に対する抗体VRC07-523LSを組み合わせて投与する多施設非盲検試験(第2部)という2パート研究を行った(NCT03205917)。主要評価項目は、両方の試験に関する安全性、耐容性と薬理動態、それに第2番目の試験でのHIV陽性、ART未施行でウイルス血症が見られる成人での抗ウイルス活性であった。副次的評価項目は第2部でのPGDM1400、PGT121、VRC07-523LS耐性に関連するCD4+ T細胞数の変化とHIV-1塩基配列での変動発生であった。静脈内に投与されたPGDM1400は30 mg kg-1までの用量で、またPGT121やVRC07-523LSと併用して投与された場合に安全であり、十分な耐容性があった。この3種の抗体の各々を20 mg kg−1で静脈内に単回注入すると、ウイルス血症患者の血漿中HIV RNAレベルが最大平均で1 ml当たり2.04 log10コピーまで低下したが、最低値になった後、中央値20日以内ですべての参加者にウイルスのリバウンドが起こった。リバウンドしたウイルスはin vitroでPGDM1400とPGT121に対して部分的、あるいは完全な抵抗性を示した一方で、VRC07-523LSに対しては感受性が維持された。ウイルスのリバウンドは、VRC07-523LSの血清濃度が平均で93 μg ml−1であるにもかかわらず生じた。本試験は事前に指定した評価項目を満たした。我々のデータは、今後のbNAb併用療法は、ウイルスをコントロールするために高い血清濃度を維持しつつ、広範囲にわたる抗ウイルス活性を達成することが必要となるであろうことを示唆している。

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