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多遺伝子リスクスコア:臨床での多遺伝子リスクスコアアッセイと報告用ワークフローの開発

Nature Medicine 28, 5 doi: 10.1038/s41591-022-01767-6

多遺伝子リスクスコア(PRS)の導入は疾患の予防と管理を改善できる可能性があるが、それには臨床的に有効なアッセイ法の構築、個々の患者のための説明、患者ケアでの使用を支援するための臨床ワークフローとリソースの開発など、いくつかの難問がある。今回我々は、米国退役軍人省で現在行われているGenoVA(Genomic Medicine at Veterans Affairs)研究のために、公開されている6つのPRSのための遺伝子型アレイをベースとする臨床用アッセイ法を開発した。Mass General Brighamバイオバンクの参加者3万6423人からのデータを用い、人口構造に対する調整を行い、既知のPRS–疾患関連と公開済みのPRSの閾値を再現した。これらの疾患のオッズ比(OR)は、2型糖尿病の場合はOR2〔範囲は1.75から(95%CI: 1.57〜1.95)〕、乳がんの場合はOR 2.38(95% CI:2.07〜2.73)だった。我々は、個々の患者に対して臨床アッセイとして用いるパイプラインが高性能でロバストであることを確認した後に、GenoVA研究の最初の227例の前向き試料を解析し、公開済みのOR > 2〔大腸がんの13/227(5.7%)から前立腺がんの23/150(15.3%)まで〕に相当する頻度のPRSを見いだした。また、PRSの検査室報告に加えて、PRSの結果に関する意思決定を支援するための医師向けと患者向けの情報資料を開発した。我々の研究は、複数の疾患に対する臨床PRSアッセイ法の一般化可能な開発の例証であり、臨床でPRS情報を導入する際の技術、報告作成や臨床的ワークフローにおける難問を明らかにしている。

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