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COVID-19:呼吸器ウイルスの臨床検査とSARS-CoV-2変異株検出のためのCRISPRベースのマルチプレックスマイクロ流体プラットフォーム

Nature Medicine 28, 5 doi: 10.1038/s41591-022-01734-1

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)などの呼吸器ウイルスとそれらのウイルスから新たに出現した変異株を検出するための、ハイスループットで高感度なマルチプレックス解析法の必要性を実証した。本論文では、ウイルスおよびウイルス変異株を検出するための対費用効果の高いプラットフォームであるmCARMEN(microfluidic Combinatorial Arrayed Reactions for Multiplexed Evaluation of Nucleic acids)について示す。mCARMENは、CRISPRベースの診断法とマイクロ流体技術の組み合わせで、それに臨床使用のために能率化されたワークフローが導入されている。我々は、SARS-CoV-2や他のコロナウイルス、A型とB型の両方のインフルエンザウイルスなどの最大で21種類のウイルスを検査するためのmCARMEN呼吸器ウイルスパネル(RVP)を開発し、これが研究用の525の患者検体および臨床検査用の166の患者検体で診断グレードの性能を持つことを実証した。さらに、SARS-CoV-2について、デルタ株およびオミクロン株を含む6つの変異株系統を明らかにできるmCARMENパネルを開発し、2,088個の患者検体で評価したところ、結果は塩基配列解読に基づく変異株分類とほぼ完全に一致した。さらに、Cas13とCas12を組み合わせた手法を実装することで、サンプル中のSARS-CoV-2とA型インフルエンザウイルスのコピー数の定量的測定が可能になった。mCARMENプラットフォームを使えば、多数のウイルスやウイルス変異株のハイスループットな監視を同時に行うことができ、また、SARS-CoV-2変異株の迅速な検出が可能になる。

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