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生検評価法/AI:心臓同種移植片拒絶反応の心内膜心筋生検を使った評価が深層学習によって可能になった

Nature Medicine 28, 3 doi: 10.1038/s41591-022-01709-2

心内膜心筋生検(EMB)スクリーニングは、心臓移植後の同種移植片拒絶反応を検出するための標準的な検査である。手動式のEMB解釈は、観察者間や観察者内に存在するかなりのばらつきによって影響を受け、それが不適切な免疫抑制剤投与、不要な追加生検、移植転帰の不良につながることが多い。今回我々は、EMBから得られたギガピクセルのホールスライド画像を自動評価するための、深層学習をベースとする人工知能(AI)システムについて報告する。このシステムでは、同種移植片拒絶反応の検出、サブタイピング、グレード分類が同時に行われる。我々はモデルの性能を評価するために、米国の大規模データセットに加えて、トルコとスイスの無関係な試験コホートのキュレーションを行った。これらのコホートでは、集団間、試料調製、スライドスキャン機器に大きなばらつきが含まれる。このモデルは、受信者操作特性曲線下面積(AUC)0.962で同種移植片拒絶反応を検出し、T細胞関連型拒絶反応タイプと抗体関連型拒絶反応タイプのAUCは、それぞれ0.958と0.874と評価された。また、Quilty B病変(拒絶反応に類似した良性病理像)のAUCは0.939であり、低グレードと高グレードの拒絶反応の間には、AUCに0.833の差があった。人間による読み取り試験で、このAIシステムは従来の評価に劣らない性能を示し、観察者間のばらつきを低減し、評価時間を短縮した。今回の心臓同種移植片拒絶反応のロバストな評価は、AI補助型EMB評価の有効性と、こうした評価が心臓移植の転帰を改善する可能性を立証するための臨床試験に向けた道を開く。

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