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がん治療:黒色腫患者での免疫チェックポイント阻害の毒性に関連するT細胞特性

Nature Medicine 28, 2 doi: 10.1038/s41591-021-01623-z

重篤な免疫関連有害事象(irAE)は、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の治療を受けている黒色腫患者の最大60%で起こる。しかし、共通のベースライン免疫状態がirAEの発症に先行して存在するかどうかは明らかではない。本論文では、飛行時間型マスサイトメトリー、単一細胞RNA塩基配列解読、単一細胞V(D)J塩基配列解読、バルクRNA塩基配列解読、T細胞受容体(TCR)バルク塩基配列解読を用いて、抗PD-1単剤療法、あるいは抗PD-1および抗CTLA-4を併用するICI療法を受けた黒色腫患者由来の末梢血サンプルを調べた。ICI投与前と投与後早期の93の血液サンプルと3つの患者コホート(n = 27、26および18)を解析することで、循環血中の2つの治療前因子、すなわち活性化CD4記憶T細胞の存在量とTCRの多様性が、臓器システムの関与に関係なく、重篤なirAE発症と関連していることが分かった。また、併用療法を受けている患者で薬剤投与中のTCRクローン性の変化を調べ、得られた知見をirAEの重篤度と発症のタイミングと関連付けた。これらの結果によって、ICIが引き起こす毒性に関連する循環中T細胞の特性が明らかになった。これらの結果は、診断や臨床管理の改善に関係してくる。

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