Article

COVID-19:ワクチンの世界的な分かち合いの促進がCOVID-19パンデミックに及ぼす影響を後ろ向きにモデル化する

Nature Medicine 28, 11 doi: 10.1038/s41591-022-02064-y

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)のパンデミック(世界的大流行)は、世界に少なからぬ数の罹患者と死亡をもたらしたが、ワクチンやブースター接種による防御は、重症の臨床転帰や死亡を低減させる方法となった。しかし、2021年の終わりにはワクチンの世界的な分配状態は非常に不均一なものとなり、成人の90%以上をカバーできた国がある一方で、接種が2%にも届いていない国もあった。本研究では、152カ国からの2021年の国内データにマッチさせたSARS-CoV-2動態の年齢構造化モデルを使って、この不平等に対処するために企てられた多様なワクチン分配プロトコル候補の世界的な影響について調べた。そして、SARS-CoV-2の拡大、その後の世界の疾病負荷や新しいバリアント出現に対して、実施されたワクチン導入戦略が及ぼす影響を定量化した。ワクチンの分かち合いが広がれば広がるほど、世界の疾病負荷全体が低下し、以前にワクチンが豊富にあった国でのワクチンの分かち合いに関係する感染増加は、非薬理学的介入の緩和抑制によって低減できることが分かった。この結果は、必要性ではなく豊かさに比例してワクチンが分配されることは、全ての国に悪影響を及ぼす可能性があるという、将来的なパンデミックに関わる公衆衛生上の提言を裏付けている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度