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がん治療:進行性非小細胞肺がんで血中循環腫瘍DNAに基づく治療法を使用した場合の全生存期間

Nature Medicine 28, 11 doi: 10.1038/s41591-022-02047-z

血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の塩基配列解読は治療法決定の指針となるが、小規模コホートでの研究がほとんどであり、全生存率への影響を判断するのに十分な追跡研究が行われていない。我々は、ctDNAに基づく治療を受けている非小細胞肺がん患者1127人の国際コホートで、前向き研究による追跡を行った。ctDNAの検出は、より短い生存期間と関連していたが(ハザード比〔HR〕)、2.05。95%信頼区間〔CI〕、1.74–2.42。P < 0.001)、臨床病理的特徴や代謝腫瘍体積とは無関係だった。ctDNAが検出された患者722人(64%)のうち、ctDNA塩基配列解読結果と合う標的療法を受けた255人(23%)は、標的療法を受けなかった患者よりも生存期間が長かった(HR:0.63、95% CI:0.52–0.76、P < 0.001)。また、時間的に対応付けた組織塩基配列解読では検出されなかったctDNA中のゲノム変化が、25%の患者で見つかった。このようなctDNAでのみ見られる変化は、抵抗性のサブクローン性ドライバー(RICTORPIK3CAなど)に偏って見られる特徴であり、短い生存期間と関連していた。侵襲性が最小のctDNAプロファイリングは組織の塩基配列解読では捉えられない不均一なドライバーを見つけ出すことができ、延命療法を受けることのできる地域診療施設を増やせるだろう。

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