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代謝:代謝的個性のまれな遺伝的決定要因と一般的な遺伝的決定要因、およびそれらがヒトの健康に及ぼす影響

Nature Medicine 28, 11 doi: 10.1038/s41591-022-02046-0

ギャロッドの「化学的個性」という概念は、ヒト疾患の分子レベルでの起源を理解する際の一助となってきた。ハイスループットで非標的型のメタボローム技術によって、ヒト代謝の詳細なスナップショットは十分な量提供されている。我々は、ヒト血漿メタボロームの遺伝的構造を、1万9994人に由来する913の代謝物の分析結果を用いて調べ、330のゲノム領域内で2599のバリアント–代謝物の関連(P < 1.25 × 10−11)と、この関連の9.4%を説明するまれなバリアント(マイナー対立遺伝子頻度 ≤ 1%)を明らかにした。各領域の代謝物を統合してモデル化することで、423の局所的に共調節されたバリアント–代謝物のクラスターが見つかった。これらはGIM(genetically influenced metabotype)と呼ばれている。これらGIMの62.4%に原因遺伝子を割り付け、これによって薬剤の有害な副作用候補を代謝物から発見する(DPYDSRD5A2)など、代謝物の基本的な生理学的性質や臨床的関連性についての新しい知見が得られた。また、先天性代謝異常を引き起こす遺伝子が高頻度で存在することに加え、代謝物間の関連や非病因性バリアントの保因者の臨床表現型が先天性代謝異常の特徴と合致する例も示された。代謝物特異的な遺伝的スコアを系統的に表現型追跡することによって、病因となる可能性のある複数の関係が明らかになった。

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