Article

マイクロバイオーム:ヒト血漿メタボロームでの個人間変動へのマイクロバイオーム、食餌、遺伝学的性質の影響

Nature Medicine 28, 11 doi: 10.1038/s41591-022-02014-8

ヒト血漿メタボローム中の数千の代謝物のレベルは、個人の遺伝学的性質、食餌の内容、腸のマイクロバイオーム組成によって強く影響を受ける。本論文では、Lifelines DEEPコホートとGenome of the Netherlandsコホートからの、表現型を詳細に調べた1368人で1183種の血漿代謝物を評価することにより、血漿メタボロームの個人間変動(さまざまな要因によって説明される)の割合を定量化した。その結果、610の代謝物が主に食餌と、85の代謝物が主に腸のマイクロバイオームと、38の代謝物が主に遺伝学的性質と関連するという特徴が明らかになった。さらに、代謝物レベルから得られた食餌の質のスコアは、詳細な食物摂取頻度調査票によって評価された食餌の質と有意に関連していた。メンデル無作為化解析と媒介分析により、食餌、腸のマイクロバイオーム、代謝物の間に想定されている因果関係が明らかになった。例えば、心血管機能に影響を及ぼす毒素である亜硫酸水素の血漿レベルの低下には、Eubacterium rectaleが原因となる影響をもたらす可能性が、メンデル無作為化解析によって裏付けられた。また、311人について4年間隔で2回行われた血漿メタボロームの解析に基づいて、代謝物レベルの安定性と、その代謝物レベルの我々の解析で説明できる分散量の間に正の相関が観察された。まとめると、血漿メタボロームの個人間変動を説明する要因の特徴付けは、食餌もしくは腸マイクロバイオームを調節して健康なメタボロームを形成するための手法の設計に役立つだろう。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度