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COVID-19:COVID-19の神経学的な長期的転帰

Nature Medicine 28, 11 doi: 10.1038/s41591-022-02001-z

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急性期の神経学的症状は特徴がよく調べられているが、1年後の急性期後に見られる神経学的後遺症についての包括的な評価は行われていない。本論文では、米国退役軍人省のnational healthcare databaseを用いて、COVID-19感染者群(15万4068人)と同時対照群(563万8795人)および既存対照群(585万9621人)からなるコホートを構築した。そして、逆確率重み付けを行って、これらのコホートのバランスを取り重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の急性感染から12カ月後の偶発的な神経学的障害のリスクと負荷を推定した。我々の結果は、COVID-19の急性期後に一連の偶発的な神経学的後遺症(虚血性および出血性の脳卒中、認知や記憶の障害、末梢神経系障害、一時的な障害〔例えば片頭痛や発作〕、錐体外路系や運動の障害、メンタルヘルスの障害、筋骨格系の障害、感覚障害、ギラン・バレー症候群、脳炎または脳症などを含む)のリスクが上昇したことを示している。全ての神経学的後遺症のハザード比は1.42(95%信頼区間:1.38, 1.47)であり、負荷(12カ月の時点で1000人当たり)は70.69(95%信頼区間:63.54, 78.01)と推定された。これらのリスクと負荷は、COVID-19の急性期に入院を必要としなかった罹患者であっても上昇していた。コホートがほとんど白人男性だけからなることは、この研究に対する制限要因の1つである。まとめると、今回の結果は、COVID-19罹患者では長期的な神経学的障害のリスクが上昇していることの証拠を提示している。

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