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COVID-19:COVID-19が当初は軽症だった患者で見られた長期的な心症状

Nature Medicine 28, 10 doi: 10.1038/s41591-022-02000-0

以前は健康であり、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染の初期症状も軽症だった罹患者で、この感染の遅発性合併症として心症状が認められるケースが増えてきているが、長期心症状につながる基盤的な病態生理についてはまだ明らかになっていない。本研究では、過去に心疾患や特別な併存疾患のない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患者を選抜した集団で、心臓の経時的な評価を、心臓の損傷や機能障害の血液バイオマーカーの測定と磁気共鳴画像検査によって行った。COVID-19罹患者346名(52%が女性)由来のベースライン測定は、感染後中央値の109日目〔四分位範囲(IQR)、77–177日〕に行われ、その時点で参加者の73%が労作性呼吸困難(62%)、動悸(28%)、非定型的胸痛(27%)、失神(3%)などの心症状を報告した。有症状者は、無症状者と比べると、心拍数がより高く、画素値(imaging value)もしくは造影剤蓄積が高く、これらは炎症性心病変を示していた。有症状者では、構造的心疾患あるいは心臓損傷や機能障害のバイオマーカーが高値であることは稀であった。追跡調査期間〔感染後329日(IQR、274–383日)〕には、参加者の57%が持続的な心症状を有していた。追跡調査時に症状がまだ残っていた患者では、びまん性心筋浮腫が回復者よりも顕著であった。女性であること、またベースライン時の画像でびまん性心筋病変が見られたことは、追跡調査時の心症状存在を独立に予測した。進行中の炎症性心病変は、以前は健康で当初のCOVID-19症状が軽症だった患者で心症状が長期化することの、少なくとも部分的な説明にはなるかもしれない。

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