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COVID-19:BNT162b2 mRNAワクチン既接種者でSARS-CoV-2の「懸念される変異株」のブレイクスルー感染の割合が増加していることの証拠

Nature Medicine 27, 8 doi: 10.1038/s41591-021-01413-7

BNT162b2 mRNAワクチンは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対して有効性が非常に高い。しかし「懸念される変異株(VOC)」は、ワクチンによる防御を回避するのではないかと心配されている。これはVOCであるB.1.1.7やB.1.351のワクチン後血清による中和の程度が他より低いという証拠が実験で得られているからである。我々はマッチさせたコホートによる研究を施行し、ウイルスゲノムの塩基配列解読結果を使って、Clalit Health Services(イスラエル)のBNT162b2 mRNAワクチン既接種者の感染でのVOCの分布状態を調べ、もしワクチンのVOCに対する有効性が低下するならば、ブレイクスルー感染症例中でのVOC感染の割合は、ワクチン未接種である対照群よりも高くなるだろうという仮説を立てた。鼻咽頭スワブからの813のウイルスゲノム塩基配列を解析したところ、2回目接種後7日目以降に検査陽性となったワクチン既接種者では、対照群と比較するとB.1.351への感染が不均衡に多いことが分かった。初回接種後の2週間と2回目接種後6日までの期間に検査陽性となった既接種者では、B.1.1.7感染が不均衡に多かった。これらの知見は、特定の時間枠内ではこれら2種のVOC両方に対してワクチンの有効性が低下することを示唆している。我々の結果は、VOCの拡散を予防するための、ウイルス変異株の綿密な追跡とワクチン接種の拡大の重要性を明らかにしている。

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