Article

真菌感染症:高度介護施設でのCandida auris皮膚定着に関する統合的ゲノミクス疫学研究

Nature Medicine 27, 8 doi: 10.1038/s41591-021-01383-w

Candida aurisは、ヘルスケア関連感染と集団感染(アウトブレイク)を引き起こすことがあり、抗菌剤や殺菌剤に抵抗性を持ち、ヒトの皮膚や無生物環境にも持続生残する真菌病原体であることから、非常に懸念されている。監視や今後の緩和戦略に対する情報を得るために、我々は皮膚定着の程度を明らかにし、C. auris定着に関連しているマイクロバイオームについて調べた。まず、C. aurisの施設内感染が起きた高度介護施設[換気装置があり、定期的なグルコン酸クロルヘキシジン(CHG)入浴を行っている]で、2019年1月から4月までの期間に3回、57人の入居者(それぞれ最大で10か所の身体部位)からスワブ検体と臨床データを収集した。微生物ゲノムデータと疫学データを統合することで、通常はスクリーニングの対象とされない複数の身体部位で、C. aurisが潜伏的に定着していることが明らかになった。高濃度のCHGはC. aurisの増殖抑制と関連していたが、常在性の微生物では有害なかく乱を起こさなかった。ヒトのマイコバイオーム(真菌群集)動態をモデル化することで皮膚の真菌群集の基盤的変化についての手掛かりが得られ、これはC. aurisの獲得と持続生残に対するおそらく修飾可能なリスク因子である。C. auris定着の広範にわたる互いに共通点のないニッチを検出できなければ、定着の起きた入居者を対象とする感染防止策の効果が低下する可能性があり、C. auris伝播を減らすための広く一般的に使える戦略の重要性が明らかになった。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度