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COVID-19:COVID-19ワクチンChAdOx1およびBNT162b2のスコットランドでの初回投与と血小板減少、血栓塞栓および出血性の事象

Nature Medicine 27, 7 doi: 10.1038/s41591-021-01408-4

ChAdOx1ワクチンに関連した血小板減少症および血管系有害事象が報告されたことで、一部の国ではこのワクチンの使用に制限が加えられている。本論文では、前向き国内コホートを使い、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンであるChAdOx1あるいはBNT162b2の初回接種への曝露と、血液学的および血管系の有害事象の間の関連を、インシデントをマッチさせたコホート内症例対照研究と確認的なSCCS(self-controlled case series)解析を用いて評価した。ChAdOx1ワクチン接種と特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の間には関連が見られ[ワクチン接種後0~27日、補正率比(aRR)= 5.77、95%信頼区間(CI) 2.41~13.83]、症例発生率は投与10万回当たり1.13(0.62~1.63)例と推定された。SCCS解析から、これはバイアスによるものではない可能性が確認された[RR = 1.98(1.29~3.02)]。また、ワクチン接種後0~27日での動脈性血栓塞栓性事象のリスクも上昇し(aRR = 1.22、1.12~1.34)、SCCSによるRRは0.97(0.93~1.02)であった。ワクチン接種後0~27日での出血性事象では、aRRは 1.48(1.12~1.96)で、SCCSによるRRは0.95(0.82~1.11)であった。ChAdOx1の初回投与は、ITPリスクのわずかな上昇と関連することが明らかになり、動脈性血栓塞栓性事象および出血性事象のリスク上昇を示唆する証拠が示された。SCCS解析で見られた影響減弱は、報告された結果が過大評価である可能性を意味しており、何らかの交絡の残存あるいは適応による交絡の存在を示している可能性がある。公衆衛生当局は、ChAdOx1に関連するこれらの比較的小さなリスク上昇を管轄官庁に通知する必要がある。BNT162b2と血小板減少、血栓塞栓および出血性の事象との間に正の関連は見られなかった。

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